のぞみ寮通信

のぞみ通信

2021/05/14

のぞみ通信 2021年4月30日 第262号

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題字 めぐみ館2年 Y.Kさん

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入寮礼拝(4月6日チャペルにて)

 

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 第54回生の皆さん、入寮おめでとう。心から歓迎いたします。

 1968年4月、今から53年前、敬和学園の開校式が行われました。宣教師のマシュウズ先生は、「昨日、アメリカでは、われらの偉大な黒人指導者、マルチンルーサーキング牧師が暗殺されました。キング牧師の生涯と働きの大きな意味を、しっかり覚えましょう。今日誕生した敬和学園高等学校が、この問題の多い世界に、平等と正義と平和をもたらす献身的な若者を、どうぞ育ててくださるように」と述べています。

 キング牧師が首都ワシントンに集まる人種差別撤廃を求める20万人の前で語った演説“I have a dream.”は、あまりに有名です。一部を紹介します。「私には夢がある。それは、いつの日にか、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちと、かつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつく、という夢である。私には夢がある。それは、いつの日か、私の4人の幼い子供たちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むようになるという夢である。」

 ノーベル平和賞を受賞したキング牧師の思想には、2つの明確な特徴がありました。1つは<非暴力主義>です。彼は「暴力で暴力に報いるのは、ただの暴力を倍化させるだけであって、憎しみを消すことは出来ない。私たちの敵意をなくすこと以外に、解決はない」と述べています。人を赦せるかどうかということは、私たちに与えられた大きな試練です。傷つけられた時こそ、殴られた時こそ、私たちは生き方が問われる。相手を憎んだり、仕返しをしたりしても、相手は変わりません。しかし、自分が変わることはできる。自分の方が変わり、相手を赦し、愛する勇気を持てるかどうかです。

 2つ目は言うまでもなく<キリスト教>です。キリスト教は、聖書を読んですぐ分かるというタイプのものではありません。なぜなら、キリスト教の真理は「ラブレター」のようなものだからです。ラブレターを1回読んで分かったから捨てる、という人はいません。受け取った人は、くり返しじっくり読んで、書いた人の心を分かろうとし、その人の心に応えていこうとします。これが聖書のメッセージの性格です。これを人格的真理といいます。科学的傍観者的真理ではありません。自分に問いかけ、ラブコールを送って、一緒に生きようと声をかける真理です。そんなつもりで、ぜひ聖書を読んでみて下さい。

 54回生の皆さん、これから共に歩んでいきましょう!ようこそのぞみ寮へ!(入寮礼拝より)

 

 

 

~入寮礼拝より~

新入寮生代表挨拶

「大きく成長したい」T.S(めぐみ館1年・大阪府)

 桜の花が咲き、風をあたたかいと感じる季節になりました。コロナウィルスで世界中が混乱している世の中ですが、私たちのために入寮礼拝を行ってくださりありがとうございます。

 今日、私たちは敬和生としての新しい生活の第一歩を踏み出したところです。これから始まる高校生活では、初めてのことが多く、戸惑いや不安もありますが、この3年間を充実したものにし、笑顔で寮生活を送れたら良いなと思っています。

 私は大阪で生まれ育ってきたので、大阪の高校に行こうと思っていました。敬和学園高校卒業の5人の従兄弟から何を学んだか、敬和で何が楽しかったか話を聞き、とても自由な学校だという話を沢山聞いても、自分の家から学校に通いたい、スマートフォンを使いたい、地元の友達と簡単に会えないのは嫌だと思っていました。

 しかし、夏休みに学校のオープンスクールに参加した時のことです。第一印象は、今まで自分が過ごしてきた景色とは真反対で、高いビルやマンションが無く、衝撃を受けました。けれども、新緑豊かで澄んだ空気の中、真っ青な空に囲まれ、その環境に身を置いた時、とても美しく魅力的な学校だと感じる自分を発見しました。

 また、去年の12月に中学校の修学旅行で集団生活の楽しさ、みんなと協力して1日を過ごす達成感を経験し、スマートフォンを使わなくても十分楽しく過ごすことができる自分に気づきました。このことから、今までの価値が変わり何を大事にし、何が必要なのかについて分かりました。それは、仲間と一緒の時間を過ごし、これからの敬和での生活を思う時、寮生活や勉強、部活動、沢山の不安はありますが、この3年間で自分自身を大きく成長させたいということです。

 私たち、精一杯努力して生活していきたいと思います。校長先生をはじめ、先生方、私たち寮生には欠かせない食事を提供してくださる調理員の皆様、職員の皆様、先輩方、保護者の皆様方、どうか力を貸してください。暖かいご指導を宜しくお願いいたします。

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歓迎の言葉

「本当に大切なもの」 N.H(みぎわ館3年・長野県)

 温かい日差しに包まれ、桜の花が満開となる季節となりました。春の訪れを感じるこの良き日に、ここ敬和学園に入学、入寮された54回生の皆さん、おめでとうございます。また、ご家族をはじめ、皆さんを支えてこられた方々に心よりお祝い申し上げます。

 しかし、どうしても逃げたくなったり、苦しくなったりしたら、是非私達先輩を頼ってください。入寮してすぐは、分からないことが多くて大変ですが、先輩達が側でサポートをするので安心してください。また、分からないことがあれば何でも聞いてください。そして、どんどん失敗をしてください。その失敗からたくさん学んで、新しい自分と出会ってみてください。今は緊張で胸がいっぱいだと思います。大丈夫です。ゆっくり少しずつ、緊張を解いていってください。制限の多い、このコロナ禍で、こうして54回生の皆さんと無事にお会いできたことを心より嬉しく思います。のぞみ寮は、全国から集まった色々な人と共に生活をします。育った環境、住んでいた場所によってそれぞれ考え方は違います。その考えの違いでぶつかってしまう日もあると思います。今ここにいる2、3年生もこの1年、2年間の中で何度もぶつかってきました。しかし、寮なので逃げたり投げ出したりすることはできません。相手と向き合っていかなくてはなりません。のぞみ寮で本当に大切なものは、共に過ごす仲間です。その仲間と本気でぶつかって、本気で向き合ってください。そして、仲間と共に困難を乗り越えてください。逃げられないという環境が私達を大きく変え、仲間との関係をより良いものとしてくれます。

 寮生活は、楽しいこともあれば辛くて悲しいこともあります。でも、自分がどんな時も仲間が隣で支えてくれます。楽しい時には一緒に笑ってくれて、辛い時には夜遅くまで話を聞いてくれて、時には一緒に泣いてくれます。敬和で過ごした仲間は、一生の仲間になります。3年間という時間は本当に一瞬です。この3年間の中で沢山の仲間と出会い、思い出を作り、沢山成長していってください。多くの出会いを大切にしながら楽しく過ごしていきましょう。

 

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保護者代表挨拶

「安心して寮生活を」大望館保護者 I 様 

 54回生の皆さん、ご入寮おめでとうございます。「おめでとう」と言われても複雑な心境な人が多いかと思います。今日から始まる寮生活に対して不安や緊張の中にいるのでしょうか。それは当然のことと思います。今日初めて会った仲間や先輩方とこれから寝食を共にするのですから。ここに集まっている54回生みんな同じです。ですから心配しなくて大丈夫です。

 この度、息子が大望館でお世話になります。15年前には長男が光風館でお世話になりました。長男の入寮礼拝に一緒に出席していた、あの小さかった彼が入寮。感慨深いです。息子は、入寮に対して「友だちが出来るかな?」と心配していました。長男が、「初めは分からないことばかりだし、初めて会う仲間や先輩達と一緒に暮らすんだから色々大変さ。でも、すぐに慣れるよ。」と。確かに卒寮時、頂いたアルバムを見ると、驚く程はじけた姿の寮生達の写真が多いことに驚きました。それぞれが寮生活を満喫している表情ばかりでした。

 長男はサッカー部に所属し、まとまった帰省はお盆と年末年始。しかし、2年生の冬、体育で柔道をしていた時に右肘を脱臼し、学校より迎えに来て欲しいとのこと。利き手が使えない為、暫く家で過ごすことになりました。しかし、数日で食事を一人で摂れるようになり、入浴も背中以外は左手で済ませることが出来るようになった長男は、「寮に戻る。出来ないことはみんなが手伝ってくれるから大丈夫。」と言い、寮に戻りました。信頼できる仲間と助け合う関係が築けたのは、寝食を共にする寮生活から得られたものでしょう。親元を離れ、嬉しいこと、楽しいこと、悩み、苦しみ、悲しくなることがあるでしょう。寮の先生方は皆さんを時に厳しく、優しく、温かく、決して見捨てることなく支えてくださいます。そして何よりも神様が共にいてくださり励まし、慰め、守って下さいます。安心して今日から始まる寮生活を送ってください。祈っています。

 

 

 

 

寮生リレー

 

「新たな伝統」E.T(光風館3年・茨城県)     

 僕が光風館で祈祷会を開こうと思った理由があります。僕は、クリスチャンホームで育ち、小さい頃から教会に行っていて、中3で洗礼を受けました。敬和に入学する前に私は、「県外から来る生徒は、クリスチャンがほとんどだ」と思っていて光風館に入寮しました。しかし、実際は光風館には、クリスチャンが各学年に1〜3人程度しかいませんでした。そういった現状から、自分の中で、「いつか光風館で祈祷会を開きたい」と思っていました。しかし、発言する勇気がなく、ずっと祈祷会を開くという案を出せませんでした。

 ですが、51回生が卒業し、これからは自分たちの学年が光風館を作っていこうとみんなの強い思いが僕の背中を押してくれました。ミーティングを開いたときに僕は、勇気を出して、祈祷会を開くという案を出しました。正直、みんなに「俺は、クリスチャンじゃないから祈祷会は反対だ」と言われると思っていました。ですが、みんな賛成してくれました。安堵と同時に、嬉しい気持ちになりました。

 新たに1年生も加わり、寮の担任が岩原先生に変わった今でも、新しい校風の伝統として毎週祈祷会を続けて行きたいと思っています。

 

 

「人生初の坊主」G.H(大望館2年・新潟県)

 試練がありました。それは単位取得です。寮での人間関係に全力を注いでいた僕の頭からは、完全に忘れ去られていたのです。最初は真面目に取り組めばすぐに終わるような課題ですが、僕は物事を後回しにしがちです。案の定、時間が経つにつれて大きくなっていくことを考えもせずに、後回しにしていました。

 そのまま何もせずにしようとしていた頃、溜まりに溜まった課題と向き合う決心をしました。その夜、鼻にもかかるほど長い髪を、肩につくほどの後ろ髪を全て捨て去り、人生初の坊主にしました。隠していた顔が露になり、誰かに注意された時に髪で顔を隠すことも出来なくなりました。誘惑は全て無視し、堂々とすることにしました。周りの人が僕を凝視し、その髪を笑ってくる人まで現われ、先生も「変わったね」と笑いかけてきました。前髪がないおかげで笑う人たちの表情もしっかり読み取ることが出来ました。それから全力で勉強し、無事に進級することが出来ました。

 敬和学園は多様性を尊重する場所です。失敗を通して自分が受け入れられた経験をしているからこそ、次は後輩をとことん可愛がろうと思います。

 

 

 

新任の挨拶      

男子寮 岩原 寅太郎

 「のぞみ寮」寮務教師として着任し、「光風館」担任を仰せつかりました岩原寅太郎と申します。昨年度まで、学校で学級担任(44回生)、学年主任(47回生)、教頭を務めて参りました。この度、縁あって「のぞみ寮」に戻ってきました。10年ぶりの寮務教師ですが、目指すべきものは変わりません。寮教育を通しての、「のぞみ寮生」の心身の成長、そして「自立」に向けた訓練です。「のぞみ寮」卒寮生・元寮務教師としての誇りと自覚をもって寮務に邁進して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

女子寮 豊田 千晃

 今年度からみぎわ館の担任をさせて頂くことになりました。豊田千晃(とよだちあき)と申します。新潟県妙高市(旧新井市)出身です。大学卒業後、埼玉県さいたま市で6年間過ごしました。

 赴任前は民間企業に勤めていた為、教育現場はのぞみ寮が初めてです。自分に何が出来るのかまだまだ分かりませんが、これから生徒達と右往左往しながら見つけていきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。