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中学生の皆様へ

2011年8月、夏のオープンスクールで行った学校紹介において、小西校長がお話させていただいた内容を掲載いたしました。

自分探しの敬和学園は、能力だけではなく、
存在そのものを大切にする学校です。

ワンピース
 世界で一番出版部数の多いコミックといえば、それは今や「ワンピース」です。みなさんの中にもワンピース大好きという人多いのではないでしょうか。ワンピースの人気のすごさを数字で表してみると次のようになります。
 8月現在、単行本は63巻まで出ています。連載の長さでは『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に及びませんが、合計の発行部数はダントツの多さです。第60巻は初版発行部数が380万部とこれまでの最高記録を出しました。そして、合計の発行部数は60巻が出た時点で2億冊になりました。63巻が出版された現在、2億3000万部を超えているとのことです。30カ国以上の国で翻訳されています。他のコミックや漫画に比べて桁違いの数字を持っています。

 私がワンピースを初めて読んだのは数年前ですが、最初、これがなぜそんなに人気があるのかよくわかりませんでした。しばらくしてわかったのは、ワンピースの魅力は自分も登場人物の一員になって、主人公たちと一緒に冒険するようなワクワク感に溢れているということです。
 ワンピースのテーマは、命の恩人である海賊シャンクスに憧れる少年ルフィが海賊王ゴールド・ロジャーの遺した秘宝を求めて冒険に出るというものです。ルフィが仲間達とかわす友情といったことが前面に出ていて、バトルやギャグシーン、感動エピソードをちりばめられているというごくふつうの少年漫画です。それにもかかわらず、大人までも興味がわくのは、物語に壮大な世界観があり、また緻密な設定がされていて、戦争や権力、領土問題、宗教問題、差別問題など様々な社会問題を鋭く織り交ぜているからだと思われます。

 私がこの漫画に最初興味を持った理由は、ワンピースというタイトルです。ワンピースというのは「ひとつなぎの大秘宝」のことで、意味するところはワンピースつまり1つのカケラが集まって大きな何かが生まれるということのようです。
 ワンピースのピースの綴りはPIECEですが、それが集まって生まれる大きな何かとは、同じ発音のピースPEACE平和ということ関係するようです。そして私がさらに気になったのはワンピースというタイトルがジグソーパズルと関係するからです。
 
 みなさんにお配りしています学校紹介パンフレットを出してください。表紙に「自分探しの敬和学園は、能力だけではなく、存在そのものを大切にする学校です」と書いてあります。表紙をめくった次のページを見て下さい。真ん中に大きく「敬和学園は600ピースのジグソーパズルです」と書いてあります。右のページに次のように書きました。「ジグソーパズルの特徴を新約聖書コリントの信徒への手紙12章がうまく言い表しています。『体は一つでも、多くの部分から成り、・・・だから、多くの部分があっても、一つの体なのです。目が手に向かってお前は要らないとは言えず、また頭が足に向かって、お前は要らないとも言えません。・・・』。人は一人ひとり違うのです。一人として同じ人はいません。ということは、何かが出来るから、何かに優れているから、誰かより勝っているから、そこにすべての価値があるのではありません。能力や力があることは、それはそれですばらしいことですが、それもあくまで一つの価値に過ぎないのです」。

 人間の肉体はたくさんの器官からできています。それぞれ見た目が違います。大きさにも大小があり、違う働きがあります。しかしはっきりしていることは、どれ一つとして不必要なものはなく、違いを持ったすべてが大切な存在、ピースだということです。それと同じように人間はすべて違っていて、すべての人が大切な存在ワンピース、そのように考えて一人ひとりを受けとめるのが敬和学園です。
 
 そこで、その敬和学園と今日オープンスクールに来て下さった中学生のみなさんの関係を、ワンピースから少し考えてみます。さっき、人間の肉体はたくさんの器官からできていて、そのすべてが必要であると言いましたが、みなさんの体を作っているのは器官という見える部分や形がある部分だけではありません。目に見えない部分もあります。たとえば内面的な心の部分、精神的な部分です。それらは目に見えませんけれど、人間が生きていくためには、とても大切な部分ピースであることはわかると思います。一人ひとりの、見えない部分心の部分を敬和学園はさらに大切に考える学校です。
 それからみなさんの10数年の人生もさまざまな部分ピースからできているということがいえます。これまでに人や出来事との出会いがたくさんあったはずです。それらの体験や経験が今のあなた作っている、存在させているのです。そうした出会いや体験には、うれしかったこと、楽しかったこと、感動したことがあったはずです。それと同時に嫌なこと、辛いこと、思い出したくないことがあります。中には自分の記憶の中から消すことができるならぜひそうしたい、もし戻ってやり直せるなら、そうしたということがあるかもしれません。そこで一つ言えるのは、中学生の皆さんは人生の中で、今一番しんどい時期を生きているということです。
 
 今日8月20日は私の誕生日です。59歳になりました。1952年8月20日、私は兵庫県の神戸で生まれました。今日は高校野球夏の甲子園の決勝戦ですが、私が生まれた日に兵庫県の代表だった県立芦屋高校が夏の甲子園で優勝しました。そういう地元の人にとっては大変うれしい日に私は生まれました。
 今私が実際になった59歳という年齢は、みなさんと同じ中学生だった頃には、そんな年寄りにはなりたくないなあと思った年齢です。そんな年になったら面白いこと楽しいこと何もないと思った年齢に自分がなりましたが、はっきり言えることがあります。人生楽になったなあ、楽しいなあということです。しなければならないことたくさんあります。果たすべき責任は軽くありません。しんどいはずです。物忘れはよくします。筋トレとランニングのためにスポーツジムに通っているのですが、少しがんばるとすぐに膝が痛くなったり腰が痛くなったりします。
 でも人生そのものが楽ですし楽しいのです。なぜかと言いますと、それはこの年齢になるまで、それなりにしんどいことや嫌な体験をしてきたので、今目の前にあるしんどいことや、困ったなあ、どうしたらいいだろうと悩むことも、これまでの経験から何とかなることがわかるからです。見えるものがあるからです。何とかなることがわかるということは、逆にそのしんどさを楽しむことができるのです。
 ところが生まれてから14年、15年のみなさんには、ほとんどが初めての体験ということが次から次に起こります。その中には先ほど言いましたように、自分にとって悪いこと、できれば消し去りたいと思えることがあるわけです。そのために時には心も体も動けなくなるということも起こるのです。
 そこでもし、自分にとってマイナスにしか思えないことも、実は自分の人生にとって大切なワンピースだという考えが持てるようになったら、そういう考え方ができるようになったら、どうでしょうか。すべてが動き始めることになります。
 
 そのことで言えることが一つあります。みなさんが敬和学園を知るきっかけになったのが、自分にとってはマイナスにしか思えない出来事や体験を通してだったとしたら、どうでしょうか。そして、その敬和学園で3年間の自分探しをするきっかけになるとしたら、どうでしょうか。
 それは、マイナスしか思えなかったことも、また実は自分にとって大切な出来事ワンピースだということになります。そしてそう思えるようになるためには、さまざまなものを抱えて生きている自分という存在を、丸ごと受けとめてもらえることが何よりも必要です。
 敬和学園は一人ひとりを大切なワンピースとして受け止めることのできる学校です。

 私は今日出会ったみなさん一人ひとりに、敬和学園というパネルの上で、一人ひとりが、物事を深く考える授業や部活動、寮生活を通して、また行事や集会を通して、充実した高校生活を送っていただきたいと思います。そして、何より自分自身がかけがえのない、大切な存在のワンピースであることに出会ってほしいと考えています。
 そういう考えをもって、一人ひとりを受けとめる敬和学園をさらに知ってもらうために、学校の中を見ていただき、昼ご飯を食べていただき、模擬授業も受けていただきたいと思います。必要なら相談の時間があります。

今日は本当によく来て下さいました。
ありがとうございます。

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