のぞみ寮通信

光風館

2020/08/24

光風 101号「タイムカプセル」

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 夏休みが明けました。県外生が今日から帰ってきています。そしてこのホームページの更新もしばらくの休憩を取らせていただき、101号の新たな出発となります。新たな出発にふさわしいか分かりませんが、今日あった出来事を紹介させていただきたいと想います。

 開寮日の午前中です。寮生が帰ってくるので準備をしていると、寮本部に一本の電話がかかってきました。光風館の担任と話をしたいというのです。ちょうど本部に居合わせた私は電話に出ました。電話の相手は23回生の光風館の卒業生からでした。23回生と言えば、ちょうど1974年生まれの私と同い年です。高校を卒業して30年近くが経つわけです。話の内容は、30年前光風館を出て行くときに、当時使っていた自分たちの私物を隠したらしく取りに行きたいと言う内容でした。「?????・・・」さっぱり理解できませんでした。そもそも隠したからといって、30年も経てばそんなのあるわけがありません。それでも大分県からわざわざきて探したいというのです。それに、県外から来る人を受け入れられる期間は今しかありません。何よりもその情熱に押されてしまい了承したら、数時間後にはご本人が来られました。大分からですよ!

 来られてよくよく話を聞きました。約30年前に光風館を出て行くとき、どこの部屋かは忘れたけれど、階段を上ったすぐ目の前の部屋の、天井裏を覗くための点検口に隠したみたいです。そして当時、一緒に同じ部屋で暮らした現在長岡市内に住んでいる仲間が体調を崩したため、とにかく元気づけようとどうしたら良いか考えたところ、ふとタイムカプセルならぬ、タイム私物を思い出したそうです。30年前に共に寮生活を過ごした仲間を元気づけるために、はるばる大分から駆けつけ、苦楽をともにした光風館の思い出を共有したいといううのです。これはもう探偵ナイトスクープですよ。そしてなによりあったんですよ。

 中には空の酒瓶があって、思わず私は息子の顔が頭をよぎりました。卒業礼拝の時にもらった花が見事なドライフラワーになっていたり、1991年の地学のノートだったり、着古したTシャツやぼろぼろの鞄。うちわらしき物に洗濯ロープ。私物と言うよりは、明らかに必要なくなった物を置いてったのでしょう。しかし一冊のノートは別ものでした。それは彼が励ましたいと思っていた長岡在住の卒業生が、30年前に将来の自分宛てに書かれた言葉が綴られていたのです。内容を紹介したいところですがやめておきます。見つけてすぐに声を出して読んでくれました。これほど完璧なシナリオはありません。30年前のちょっとしたイタズラが、時を経て感動に変わろうとしているんですよ。そして何より、その一部始終の出来事を2年生のK礼武君とK太郎君が見ていたんです。かれらもこの出来事には驚きと感動を隠せない様子でした。のぞみ寮での3年間がこれからの人生にこんな風に活かされていくというのを目の当たりにしたわけです。何よりの学びのチャンスを与えられたことに感謝する、新しいスタートの出来事でした。光風生たちにも同じようなドラマが待っていることを信じたいと想います。