のぞみ寮通信

のぞみ通信

2020/07/02

のぞみ通信 2020年7月1日 第255号

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~ 「新しい生活様式」で登校 ~

 

 

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 今日入寮された53回生の皆さん、入寮おめでとう。心から歓迎します。

 今、皆さんはどんな気持ちで各館の自分の部屋にいるのでしょうか?今世界は新型コロナウィルス感染症によってパンデミックとなっています。でも、今日こうして無事に敬和学園に集まることが出来ました。本当に感謝です。

 今日皆さんにお話ししたいことは、<今を感謝して生きる>ということです。私たちは、歴史的にまた世界的に見れば、本当に恵まれた環境の中に生きるごくごく少数者の中の一人であることは、明白です。私たちは明日、兵士として戦場に行くことも、空爆に怯えることも、「踏み絵」を踏むかどうかを悩むことも、キリスト教徒ゆえにコロッセオで猛獣と格闘を強要されることもありません。また私たちは明日、生きることができない重病人でも、食べるものがない飢餓状態でも、政治的な難民でもありません。私たちには差し迫った生命の危険も、戦争も、迫害もないのです。私たちは明朝、用意された温かい食事をあたりまえのように食べることができます。この事実を実感し、感謝することができないとしたら、それは私たちの感受性と想像力の低さの問題です。

 聖書には「どんなことにも感謝しなさい」(テサロニケⅠ5:18) とあります。これは伝道者パウロの言葉です。彼は実は大変な苦労人でした。そのパウロが「どんなことにも感謝」と言うのです。そのパウロにもっとも影響を与えたのが、イエスです。

 福音書にはイエスが行った奇跡の1つとして、2匹の魚と5つのパンで5000人が満腹になった出来事が記されています。そのイエスがこの奇跡を行う前にしたこととは何か。それは「なんだ、これしかないのか」ではない。「イエスはパンを取り、感謝の祈りを唱えてから、座っている人々に分け与えられた」のです。イエスは目の前の現実(空腹の群衆が飢えていく現実)に絶望し嘆いたのではなく、感謝の祈りを捧げる。そのことを通して、結果的に喜ばしい結果が与えられた、と聖書は私たちに教えています。

 現実の「コロナ禍」に絶望するだけなら誰にでも出来ます。コロナの時代だからこそ、私たちが経験する喜ばしい出来事が必ずある。今はそれが見えないだけです。それを見つけて、今を感謝して生きていきましょう!

(「新入寮生歓迎(放送)礼拝」より)

 

 

 

~入寮礼拝より~

新入寮生代表挨拶    

今この瞬間を  I.W(めぐみ館1年・北海道)

 好きな物は何ですか?今回の長期休みは、自分の新しい一面を知る機会にもなりましたから、ぱっと浮かんでくるものがあるのではないでしょうか。私の場合は、絵を描くこと、雲をながめること、演劇など、色々あります。ですが、年を重ねるにつれて好きなものも変わっていったように思います。幼稚園の頃は竹馬やブランコが大好きでしたが、あの時のように素早く竹馬で歩いてみたり、あの時のように高々とブランコを漕ぐことは恐くてできません。今と昔。同じ自分なのに、ぜんぜん違います。

 今の自分。入学というと、「期待と不安」と言うワードをよく聞きます。実際に私も、友達ができるか、勉強について行けるか、いじめられないかなど、たくさんの不安を抱えて入学式を迎えた経験があります。 

 「なっがいなぁ」と思っていたコロナ休みも終わり、入寮してから数日が経ちました。皆さんはどんな出会いがあったでしょうか。不安はあったでしょうか。私は中学生の時、先輩とあまり関わってこなかったので、先輩との関わりが多い寮生活は不安がありました。何を話せばいいんだろう、うまくいかなかったらどうしよう……等、周りから見れば小さな不安でさえ、考えれば考えるほど、自分の中で大きくなっていきました。でも、そうやって悩んでいくうちに、自分はありもしない未来のことを考えて、今からにげていることに気がつきました。

  実際に、自分から話しかけてみたら、私の不安も受けとめてくれるかのように、とても優しく応じてくれました。自分が勇気を出すこと。自分から始めること。それが大事なのだと思いました。

 私をいつも支えてくれた本の中に、「人生とは、今この瞬間をくるくるとダンスするように生きる、連続する刹那」という言葉があります。私はいつも過去にとらわれたり、自分で想像した未来にとらわれて動かない理由を作っています。だからこそ私は、今、この瞬間をもっと真剣に生きていきたいと思います。

 昔見ていた景色。ブランコにのって、大きな空を近くで感じていました。今見ている景色。新しい土地で、新しい人の顔を見て、新しい景色を見ています。昔の一瞬も今の一瞬も、その時にしか見ることのできない景色です。今しか見られないこの大切な景色を、目に焼き付けてこれからの高校生活へ踏み出していこうと思います。

 先輩の皆さん、私は先輩の優しさに触れて、まだ数日しか経っていませんが、たくさんのことを学ばせて頂きました。これから私が迷惑をかけたり、困らせてしまうかもしれませんが、そこから一緒に何かを築いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

歓迎の言葉    

のぞみ寮での出会い H.K(光風館3年・長野県)

 新入生の皆さん、ようこそ敬和学園高校のぞみ寮へ。のぞみ寮では、全国から集まった色々な人が生活をしています。色々な人がいると言うことは、その分色々な考えがあるということ。それぞれに好きな物があり、嫌いな物があります。そもそも、物の考え方が違うので当然ぶつかり合いが起きます。寮では、どこかに逃げることはできません。しかし、その逃げることの出来ない環境が深い友人関係を築くチャンスになっているのです。そのチャンスを逃さないようにしてください。ぶつかり合いが起きた時には、どうやって相手のことを理解するのか、自分はどうしたいのかをよく考える必要があります。ここで一番大事なことは相手を変えようとするのではなく、自分が変わろうとすることです。皆さんがそうすればより良い人間関係が築けると思います。

 敬和で共に過ごした友達は、一生の友達になります。ここでの出会いを大切にしてください。私がここで過ごした二年間で仲良くさせてもらった先輩とは、卒業してからもずっと連絡を取り合っています。

 また寮では、時間がとてもあります。何か一つでもしたいこと、出来るようになりたいことを見つけるともっと寮生活が楽しくなります。それは、勉強でも、趣味でも何でもいいのです。私は、音楽や楽器が好きです。ピアノ、ギター、ドラムを始めて少しずつ出来るようになりました。寮には、色々な人が集まるので、色々な才能を持っている人がいます。私もギターとドラムは先輩に教えてもらいました。是非何かに挑戦してください。

 今感じている緊張も、後で考えると一つの思い出です。寮では以前、先輩が緊張をほぐしてくれたことを覚えています。でもコミュニケーションは、自分から取るようにしましょう。そうすると自分の力になります。分からないことがあれば何でも聞いてください。私たちは、1年生が来ることを心待ちにしていました。これから仲良く寮生活を共に過ごしましょう。そして3年間の寮生活を楽しんでください。

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~ 入寮礼拝2020.7.1 ~

 

保護者代表挨拶

「娘の成長を願う」 みぎわ館保護者 S.K

 みぎわ館でお世話になりますS.Rの母です。この3月に、姉・Mを卒業させていただきました。あるがままの私の気持ち・考えを皆さんにお伝えすることで、少しでも何かお役に立てることがあればと思い、新入生の保護者として書かせていただきます。

 まず、上の子の寮生活ですが「順風満帆!」→「楽しい寮生活!」→「そして、高校生活を卒業!」→「ばんざーい!」というわけではありませんでした。寮を辞めるつもりで、自宅に戻っていた時期もあります。その時はなぜか「辞めないだろうな」という根拠のない確信がありました。その根拠は娘が卒業した今ならわかります。

 一つ目、敬和に行く!寮に入る!と自分で決めた娘の意地と、それを私が信じていたこと。二つ目、寮の先生方、そして学校の先生方が娘を信じ、娘に寄り添ってくださったこと。そして三つ目は、娘を大切な仲間として、娘の存在を必要としてくれた友達がいてくれたこと。

 姉の成長は、今回入学する妹・Rにも衝撃を与えるほどでした。寮から帰る度に成長する姉の姿を見て、姉のように成長したい、敬和への進学を考え始めました。中学2年の後半、自ら担任の先生に「高校は敬和に行きたい」と告げ、敬和進学に向けて行動を始めました。

 今日から、Rの寮生活、私の寮生の保護者としての生活がスタートします。のぞみ寮には、素晴らしい先生方、各職員の皆様、そして仲間がいます。でも、もう一つ。どうしても欠くことが出来ない大切なものがあると思います。それは、子供を信じ、寮へ送り出しても、心は側に置き続ける保護者の皆さんの存在です。上の娘の成長に反し、この3年間、いまひとつ保護者として成長できずにいた私に、幸いなことに、もう3年成長する機会を与えていただきました。皆さん、これからの3年間、共に見守り、さらに親として成長できる機会を、共に喜びあえたら願っております。よろしくお願いいたします。

 

 

『寮生リレー』~活動自粛期間を過ごして~

「安心出来るからこそ、離れている人のことも想える」

N.K(大望館3年・新潟県) 

 私の実家は農家なので、休校期間中に畑仕事や田植えなどを手伝い、家族との時間を過ごしました。今まではゲーム三昧で家族と一緒に食事をしなかった生活でした。しかし、一緒に食事することの楽しさを経験し、会話することや食事することの大切さを学びました。

  寮が再開し、親から一本の電話が来ました。それは甥っ子が生まれたという知らせでした。自分がおじさんになったことを自覚し、「かわいい甥っ子に会いたい」と家族のことを想う時間が増えていました。しかし、寮生活をする中で気付いたことがあります。家で過ごしている時は寮生のことを想い、寮で過ごしている時は家族のことを想っていました。私は、目の前にいる人と過ごす時間が安心出来るからこそ、離れている人のことも想えるのだと気付きました。そう気付くことが出来たのは、家族が寮生活をさせてくれているからです。改めて、家族と寮の仲間たちに感謝したいです。

  新型コロナウィルスが流行っている中で、自分の生活や行動に責任を持とうと思えるようになりました。自分が規則正しい生活を送らないことで、免疫力が落ちて感染しやすくなり、感染してしまったら寮の仲間や体調不良者を隔離する寮務教師にも迷惑をかけてしまうことがあるからです。そのために体調を崩さないための早寝早起き、三度のご飯をちゃんとした時間で行っていきたいと思います。

 

 

「私、只今自分とバトル中」

I.R(みぎわ館2年・茨城県)

 私は休校期間中、自分の事を変えてみようと思い立ち、様々な方法を試してみました。まず最初に外見を変えてみよう!と洋服を新調してみたり、メイクをしたり、髪をいじってみました。しかし違和感しかありませんでした。次に特技を持とうとギターを始めました。でもなんか違いました。なんで違和感しかないんだろう?と思いながら、「ギターはもういいやちょっと弾けても特技には出来ない」と諦めようとしていた時、母が「何でも中途半端。それじゃ何にも出来ないよ。いつも周りと比べて苦しいのは誰?」と言ってきました。私はカチンときたのですが、本当に求めていた変化とは、「自分の考え方を変える」という事だと気が付きました。

 私はずっと自分を周りと比べて苦しんできました。嫌なことがあったらすぐ逃げ、結果自分を嫌いになる、を繰り返してきました。考え方を変化させるのはすごく難しいです。でも自分の考え方を変えられたら、最高な自分になっていけると思います。そのためには自分との戦いが必要です。私も今はまだまだ自分とバトル中です。それでも少しずつ変わっていける事が楽しくて、幸せな気持ちです。これからも新しい自分と出会っていけるように自分とのバトルを続けて行こうと思います。そして寮生活は自分を変えるヒントをゲットするのにうってつけです。いろんな人に出会い、その全てを自分を変えるヒントにする。こんなに楽しくて、わくわくするような成長の仕方はここでしかできません。みんなとここで幸せに!

 

 

教師からの一言  男子寮 山﨑飛鳥

 寮生は「新しい生活様式」に戸惑いながらも、徐々に慣れてきた様子で過ごしています。礼拝は、全て放送に変わりました。「礼拝は、みんなで集まるもの」と決めつけていた私でしたが、いざ初めてみると「これはこれで良いなあ」と感じるようになりました。自分の部屋で同室の仲間達と静かに耳を傾ける。今までやってきたようでやってこなかった新たな発見です。そんな発見の毎日を寮生と共に日々楽しんでいます。