のぞみ寮通信

光風館

2020/06/07

光風 78号「好きにやらせよう」

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 入寮してまだ2日。今日は初の週末の金曜日で「フリー」と呼ばれる日です。ウィークデーと違い、礼拝と自習時間がなく、その名の通りフリーな時間が多くあります。でもって、学校は分散登校中ですので、寮生は午後からの登校になります。なれない寮生活にプラスして、今までにない登校スタイル。さぞかし一年生は戸惑うかと思いきや、朝ご飯の弁当を食べ終わった時にある1年生が相談に来ました。入寮前、約2ヶ月、青森の祖父宅で過ごしていて、なんだかんだでもう親元を離れて過ごすことになれているK澤くんです。「今日、学校から帰ってきたら、1年ミーティングやっていいですか?」そう切り出してきたんです。ミーティングの内容は挨拶と言葉遣いについて話したいと言ってきました。

 入寮2日目です。こんなに早く1年生自らミーティングをしたいと言ってきたのは17年目になる寮務教師経験でも初めてのことです。初めてのミーティングですから、私も間に入った方がいいかなと思ったのですが、次に語られる彼の言葉を聞いて、好きにやらせようと思わされました。

 「何度言われても、先輩に対しての挨拶と敬語ができない1年生がいる…。でも、このミーティングで、できない人を責めるというのではなく、皆で協力しながら、今できていない人を支えようというような話し合いにしたいんです。」こんな言葉が出てきたら、何のアドバイスも必要ありません。しかも、残り13人いる1年生ひとり一人に、こういう意図でミーティングするからと耳打ちしていくという、裏技も使うというのです。ここまでしてうまくいかないわけありません。

 放課後、1年生がミーティングを開いていることをすっかり忘れていた私がホールに入ったら、キープディスタンスで円になって笑みを浮かべながら集っています。

 「もっとちゃんとしようぜ」本来ならばそんなミーティングだから、重い空気になってもおかしくありませんが、本当にいい時間を14人で過ごしたことが一瞬で分かります。時に拍手なんかもしながら話し合っています。楽しいばかりでない寮生活。この仲間とだったら、やっていけると、そう信じることのできる大事な時間を過ごせたんだと思います。

 後に、満面の笑みで「うまくいきました!」報告に来たK澤君のまだ幼さの残る笑顔が、どんな成長をしていってくれるのだろうか?楽しみでなりません。