のぞみ寮通信

のぞみ通信

2020/04/11

寮長日記 2020年4月10日(金)

  「敬和でおいしいのはランチだけではありません」

寮長  東 晴也


 今日はお昼に山菜採りに出かけた。車に乗って何分ではなく、徒歩1分で山菜にありつけるのが敬和学園のいいところだ。去年、47回生のC君のお祖父様がわざわざタラノキの苗を植えに来て下さった。おかげで今年は沢山収穫できた。感謝!今日はいつも大変お世話になっている方に宅配便で送ってあげよう。次は、あけび。あけびはこのキャンパスの駐車場周辺に無尽蔵にある。でも、敬和の先生方は誰も採らない。この新芽がまた美味なのだ。「ザ春の味」という感じ。おひたしにして、醤油とおかかで最高の一品となる。ただ、小さいのでひたすら採り続けないとおかずにはならない。次は、茎立ち菜だ。本当の名前は知らない。場所は労作畑の堆肥場。去年の秋、たぶん白菜として収穫され、根のついた残りの部分が捨てられ、その切り株から出てきた柔らかい芽を収穫するのだ。客観的に見れば、どう見ても「堆肥場をあさっている変なおじさん」だが、そんなのおかまいなし。おいしければそれでいい。
 というわけで、小一時間で山菜採りは終了。小さな段ボールに詰めて、某宅配便店に持ち込んだ。入店したとたんに感じたいわゆる密閉空間。今一番警戒したい感じの場所だ。段ボールと伝票を渡し、支払いを済ませたところで、私はそこの若い店員さんに声をかけた。「このご時勢で宅配便さんのお仕事は大丈夫ですか?」するとその店員さんは満面の笑みでこう応えてくれた。「はい、大丈夫です」と。私は内心感心した。私と店員さんの距離はほぼ1m。感染リスクを覚悟の上でこの店員さんは私とのやりとりをして下さっている。私は、小さな声で、でも心から「ありがとうございます」と言い終えて店を出た。このような店員さんたちのおかげで今、世界は動いているんだと確信した瞬間だった。