のぞみ寮通信

のぞみ通信

2020/04/09

寮長日記 2020年4月8日(水)

 「 目に見えない闘い ~ 緊急事態宣言 ~ 」
 
寮長  東 晴也

 昨日、安倍首相から緊急事態宣言が発令された。非常事態宣言というとあの9年前の「3.11東日本大震災」を思い出す。福島県を中心に北海道から関東地方までの主に太平洋側の地方に大打撃を与えた大震災だった。今もその傷跡は深く残ったままだ。79数年前の太平洋戦争開戦時にも非常事態宣言が発令されたらしい。
 この○○事態宣言というと、何かとんでもないことが起きて、多くの犠牲者を出し、都市が破壊され、目に見える形での大打撃を日本国民全体が被るというイメージがある。しかし、今日の敬和学園は、穏やかな晴れで桜は満開……目に見える光景は平和そのものだ。午後は、女性の寮務教師3人と寮事務の瀧澤さんは、寮本部で裁縫教室!実に楽しそうに布製マスク作りをしていた。本当なら満開の桜の木の下で、記念撮影しながら、少し大きめの制服を着た新一年生たちが登校する姿が初々しい季節だが、今はそれはない。まさに今私たちは、「目に見えない敵」と闘っているのだ。
 3月、4月というとても大切な節目の時期。そして過ごしやすい気持ちの良い季節に生徒がいない学校のなんと寂しいことか。
 今、学校の存在意義が問われている。ネットを使った遠隔通信教育にして差し支えない、そんな声が聞こえてきそうだ。しかし、人を教育するのは同じ人でなければならない。「鉄は鉄をもって研磨する」(聖書)の言葉通り、生身の人間でなければ為し得ない教育の業があるに違いない。「学校に行きたい」と願う生徒たちの声に、心から応えたいと切に願う。

                  *「寮長日記」は、休校中の寮生及びそのご家族を念頭に執筆するものです。