のぞみ寮通信

のぞみ通信

2020/01/27

のぞみ通信 2020年1月27日 第251号

寮クリスマスで息の合った演奏をしてくれたトーンチャイム部のみなさん

 

 

祈るのぞみ寮生 ~祈りが聞き届けられるとき~

寮長 東 晴也

 昨年十月、めぐみ館の礼拝後の連絡で、Mさんは突然こう切り出した。「キリスト教とか仏教とか関係なく、個人的なことで申し訳ないんですけど、皆さんにお願いしたいことがあるので聞いて下さい。先日の台風で私の家のある千葉が大変なことになっています。それで、また千葉に台風が直撃するから『被災地を守って下さい』と今日寝る前に……神様に……お祈りして下さい。……お願いします」途中、Mさんは涙で声を詰まらせながらこう語り終えた。めぐみ館の生徒はMさんの真剣な願いを受け止めた。翌日、同級生のYさんは「昨日寝る前にお祈りしたよ」と言ってくれたそうだ。▼これは、私が直接見聞きしたことではない。生徒たちのやりとりを後から聞き、ご本人に確かめたことだ。Mさんは私に「Dランドが休業するなんてただ事じゃないと思ったんです。だから、私だけの祈りじゃだめだ!みんなの祈りだったら神様は聞いてくれるかもしれないと思って言いました」と話してくれた。台風が去った後、Mさんは地元の友達から「風は凄かったけど、家は無事だった。被害はなかったよ」と連絡を受けたそうだ。祈りは、聞かれた!▼つい先日、大望館のK君のお母様から長いお手紙を頂いた。一部を紹介させて頂くと「(大望館の先輩の)H君は、ある時たまたま大望館ホールにKがいたら、その場にいた数人に声をかけ、その場でKのためにお祈りをしてくれたそうです。この話を聞いた時、私は本当に嬉しかったです。友のために一緒に祈ってくれる仲間がそばにいてくれるなんて、と感動しました」と。K君は、秋頃からあることで苦しんでいました。そのことのために先輩が祈ってくれたこと。そして、この冬、症状が劇的に回復したことをお母様は深い感謝と共に私に伝えて下さったのです。「私達家族は遠くにいて、何もすることが出来ず、祈り、待つことしか出来ませんでした。……感謝でいっぱいです」祈りは、聞かれている!▼自分のことを祈るだけでなく、他者(家族や友等)のために、皆と連携して祈る生徒が、こののぞみ寮にはいる。この事実は私にとって大きな励ましです。こんなに純粋で熱い祈りを神様が聞いて下さらないはずがない。のぞみ寮教育のねらいは「他者、自分、そして神に出会う」こと。私達の願いは聞き届けられている。神様、感謝します!

 

 

 

< 寮生リレー のぞみ寮クリスマス特集号 ◇祝会でのスピーチより◇ >

 

『 他者に温かさを分けてあげられる人に 』

宮本 武呂 (社会科・Zクラス担任)

 今日は「サンタクロースはいるのか、いないのか」という議論に決着を付けるために来ました。私の長年のサンタ研究の結論から言うと、サンタは存在します。検証していきましょう。

「親が置いていた」と言う人。それはサンタが親の姿に変装していたのです。

「親がサンタは自分だ」と言ってくる人。それはサンタに脅迫された嘘であり、親とサンタはグルなのです。なぜ、君たちは「大人は嘘つき」と言って疑うのに「サンタはいない」だけは素直に信じてしまうのか?甘い、もっと疑え。

「もう自分には来ない」と言う人。それはサンタが物の贈り物は卒業だと判断し、与える側になれると判断されたのです。

「サンタの資金はどこから?」と疑問を持つ人。サンタはたくさんの手下がいる、一大組織なのです。みんなバイトをしています。年末になると、サンタ帽を被ったたくさんのレジバイトを見ます。あれ、全部手下です。みなさん、バイトして稼いだお金がいつの間にか無くなっていることはありませんか?あれはサンタにバイト代を抜かれているのです。しかし、多くのサンタの偽物の中にひとりの本物がいるかもしれない。したがって「サンタクロースはいない」とは言い切れないのです。

 そもそも本物のサンタクロースとは何なのでしょうか?贈る気持ちがあれば、誰もがサンタクロースなのではないか?我々は皆、誰かにとってのサンタクロースになれるはずです。

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寮クリスマス礼拝 講師 岡村 翼さん(本校41回生)

 サンタクロースを信じるかどうか。これは、イエス・キリストを信じるかと似ています。証明することは不可能だけれど、暗い世界の中で信じることが希望をもたらします。それは理屈ではない。信じることが世界を豊かにする。信じている人が多いことで、世界はもっと良くなるかもしれません。こんな世の中に、不幸や戦争が多い中で、クリスマスを祝うことに、どんな意味があるのでしょうか?こんな世界の中で、何を信じることに価値があるのでしょうか?人間は無力です。しかし、信じることに価値があります。
 かつて第一次世界大戦の最初の年、十二月二十五日クリスマス当日。銃を構えて睨み合っていたドイツ軍とイギリス軍が賛美歌を歌い、休戦状態となりました。そして、両者はチョコレートなどの品物を交換し、記念写真を撮りました。クリスマス明けから再び彼らは殺し合いに戻るのですが、クリスマスという最も無力で貧しい中にイエス・キリストが生まれるという出来事が、力のぶつかり合いである戦争をも止める可能性があることを信じさせてくれるのです。こんな世の中だからこそ、イエス・キリストは生まれたのであり、そこにお祝いする価値があるのです。
 そして、皆さんにはぜひ隣人にとってのサンタクロース、他者に温かさを分けてあげられる人になってほしいのです。

 

 

 

『 ただただ自分のためにやっていたことが人のためになっていた 』

S.K(みぎわ館三年 神奈川県)

キャロリングで素敵な歌声を届けてくれました!

キャロリングで素敵な歌声を届けてくれました!

 私の敬和生活は涙の退学宣言から始まりました。
 私は敬和が嫌いでした。元々、私が敬和に来たのは、母に喜んでほしい、ただそれだけの理由でした。自分が本当にやりたいことは敬和で出来るのか?自分は本当に敬和に来たかったのか?「母に喜んでほしい」という理由で決めたことに後悔しました。人と関わることが嫌いで、家に帰りたくて……。泣いてばかりの敬和生活は約一年続き、何度も「やめたい」と心から思いました。
 二学年に上がる少し前、私は「泣かない」と決めました。みんなに泣いている姿を見せて弱い人だと思われたくなかったからです。「人に迷惑をかけない。存在を否定されたくない」と自分の気持ちを奮い立たせていました。そう奮い立たせて行動したことが、結果的に人のためになっていたのだと思います。他人のために働くのが嬉しいからでも、他人に感謝されたいからでもなく、ただただ自分のためにやっていたことが人のためになっていました。自分ではそのことに気付かず、周りの人に言われて気付きました。人間観察や物の観察などが好きだったからこそ、小さな変化にも気付き、行動出来たのだと思います。人に迷惑をかけたくない、私が働いてみんなが楽しく過ごせるのなら……。そう考え、行動出来るようになっていきました。みぎわ館の仲間から「みんなのためにありがとう」と言われ、とても嬉しかったです

彼女の三年間の成長を感じるスピーチでした!

彼女の三年間の成長を感じるスピーチでした!

 それでも辛いことはたくさんありました。辛いことがあっても、迷惑になるからと誰にも相談しなくなりました。人と違う意見を出すことに抵抗があったせいか、ミーティングで意見を言う時も「否定されたらどうしよう」と、この考えもダメ、あの考えもダメと自分の意見全てにバツを付け、みんなの意見に対して「それでいいんじゃない」と肯定するばかりでした。そして、この二年間、泣かないと決めた時から泣くことが出来なくなっていました。本当に助けてほしい時に、助けを求められなくなっていました。存在を否定されないこと、みんなに認めてもらえたことは本当に嬉しかったです。
 今の私はみなさんの目にどう映っていますか?私は変わったでしょうか?変わったとすれば、それはきっと私の努力ではなく、周りの人に助けてもらったからです。みんなと過ごせる日々が、残りわずかとなったのぞみ寮での生活の中で、私が残せるもの、伝えられるものを、少しでも多く伝えていきたいと思います。

 

 

 

『 みんなに感謝を伝えたい 』

A.N(大望館三年 新潟市)

 私の敬和生活を一言で言うと「変化が多かった」と思います。

 最初の変化は、家での生活から寮に変わったこと。ここから全ては変わりました。そして、学校生活での一番大きな変化。それは、フェスティバルでの司会。あんなことするなんて昔の私ではありえないことです。

彼の温かい人柄で会場を和ませてくれました!

彼の温かい人柄で会場を和ませてくれました!

 少し話はそれますが、昔から私は一つだけとても自信があることがあります。それが何かわかりますか?それは、人に恵まれているということです。
 寮生活は、十八年生きてきた中で最も影響を与えたものと言えるでしょう。毎日同じ屋根の下で同じ釜の飯を食って、一緒に過ごして、一緒に怒られて、一緒に笑って、それが当たり前になっても毎日楽しくて嬉しかった、そんな日々もあと少しのところまで来ています。とてもさみしいですが、それ以上に自分を変えるきっかけを与えてくれた敬和学園に、のぞみ寮に、そして大望館に感謝しています。少し抽象的になってしまいますが、こうしていることが楽しくて「敬和に来て良かった」とも思っています。
 礼拝のお話でよく言う「何が言いたかったと言うと……」に当てはめると、感謝を伝えたかったんです。おそらく、このような場所を設けてもらわなければ伝えることは出来なかったでしょう。
 敬和学園を作る一人一人、先生方、そして一番近くで深く関わってくれた大望館のみんなに感謝を伝えたいと思います。本当にありがとう。

 

 

 

◇寮トーンチャイム部の活動を通して◇

『 心もきれいになった 』

K.H(めぐみ館三年 加茂市)

 最初にトーンチャイムを演奏したのは、東寮長宅にお邪魔した時でした。みんなでひとつの音楽を作るということがとても楽しく、「寮の仲間たちとも演奏したい」と思いました。

 去年の寮クリスマスでの光風館の演奏を受け継ぎたいという想いもあり、今年度は全館に募集をかけて、のぞみ寮トーンチャイム部を結成することになりました。

多くの寮生がクッキー作りを楽しんでいました!

多くの寮生がクッキー作りを楽しんでいました!

 練習ではテンポが合わなかったり、和音が違ってしまったりと大変なこともありましたが、指揮者が参加してくれたり、音楽に詳しい人がアドバイスをくれたりと、たくさんの人の協力のおかげで乗り越えることが出来ました。
 学年や寮を超えて仲間たちと一緒に演奏出来た時間は、とても輝いていて、みんなと一緒にきれいな音色を奏でていくうちに、心もきれいになった気がします。みんなの音がひとつに重なった瞬間は感動ものでした。
 H.Aさんが「これから出会った人と演奏したい」と思い、買ったトーンチャイムを出会った人として演奏させていただけたことが光栄で、とても嬉しかったです。
 ぜひ来年度ものぞみ寮トーンチャイム部を受け継いでいってほしいと思います。ご指導してくださったH.Aさん、そしてトーンチャイム部のみなさん、聴いてくださったみなさん、本当にありがとうございました。

 

 

 

◇飾りつけの活動を通して◇

『 仲間との絆が深まるとても良い行事だよ 』

E.T(光風館一年 茨城県)

 寮クリスマスの飾りつけの製作が始まったのは、寮クリスマスのちょうど一週間前でした。

 光風館のテーマは「深海魚」でした。深海魚の飾りを何個か作ると「深海魚に合うものって何?」という話になりました。そこで、僕たち光風館一年生は沈没船を作ることにしました。沈没船を作る時に「他の館よりもクオリティが高い物をとにかく作ること」を目標に、みんなで頑張ることに決めました。その結果、人が乗っても壊れないくらいクオリティが高い沈没船を作ることが出来ました。

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寮クリスマス礼拝で岡村 翼さんの歌声に感動!

 一人で大きな目標に立ち向かうのは大変だけど、みんなで立ち向かったら、一人では浮かばないアイディアが出てきました。そして、他の人が頑張っていると、「自分も頑張ろう」という気持ちが湧いてきました。
 仲間の一人であるR君は、行事に参加することが苦手で、寮クリスマスにも乗り気ではありませんでした。始めは飾りつけの制作になかなか参加しませんでした。しかし、どんどん準備が進んでいくうちに、協力してくれるようになりました。そして、当日も寮クリスマスに参加してくれて、本当に嬉しかったです。当日、彼が楽しそうにしていたので、頑張って良かったなぁと心から思いました。
 寮クリスマスの準備は大変だと聞いていました。しかし、僕は後輩が出来たら「仲間との絆が深まる、とても良い行事だよ」と伝えたいです。

 

 

 

教師からの一言

「 神様の恵みが注がれる中で 」

小菅真子(めぐみ館担任)

 学年のまとめの季節が巡ってきました。三年生との生活は残りわずか、一・二年生もこの学年での生活は二ヶ月を切りました。

 各館の礼拝では、三年生のラストメッセージが語られています。毎年のことながら、胸がいっぱいになりながら聞き入っています。自信を持って語る頼もしい姿に合わせて、一人ひとりの三年間の出来事が頭の中を次々よぎります。一人ひとりにいつも必要な出来事を神様が整えてくださっていたことを憶えます。

 ありのままの自分でいることに自信を持てたこと。寮の仲間の存在が大きな支えであったこと。本物の笑顔は悩みながらも諦めずに歩んだ時間の積み重ねの先にあることを実感したこと。そのように自分自身が経験したことを一人ひとりが自分の言葉で語っています。「手を離さないでくれてありがとう」と語る三年生の言葉が私だけでなく、みんなの心にも響いていることでしょう。

 新しい年を迎え、心と体の健康を願い、気持ちを新たにしています。一人ひとりの幸せに携われる恵みに感謝して、神様の恵みが注がれる中で、共に過ごしていきたいと思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします。