自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2019/10/07
スパゲティミートソース・イタリアンサラダ・牛乳・マフィン
かつてヨーロッパでは手づかみで食べることは当たり前であった。17世紀から18世紀にかけてパスタが流行し、四本歯のフォークが発明され、それがやがて広まるにつれ手食文化は衰退した。なので、パスタの流行初期、人々は手づかみで、路上でパスタを食べていたのだ。証拠として当時の絵も残っている。
本日のスパゲティはもちろんフォークが付いている。マナーに詳しい人同士では、スプーンを使わないのは野蛮だ、いやそれは子どもの食べ方で本来はフォーク一本だ、などと終わることの無い論争が繰り広げられている。マナーをどこまで辿るか、源流を辿れば手づかみになってしまうし、いい塩梅を見極め、人に不快感を与えなければそれでいいのかもしれない。
日本が近代化する際、人々は初めてヨーロッパの食器を使い、スプーンからスープをひざにこぼしたり、ナイフやフォークで口を切ったりして苦労してマナーを身につけた。一方現代は日本料理や中国料理のグローバル化で欧米人が箸を使うのは当たり前。使えるかどうか訊くことは失礼にすら値するという。文化に国境は無い。政治問題とは別に国を越えて文化は交流され、影響を与え合う。例えばコーヒーがかつての植民地アメリカからイギリス本国に逆輸入され紅茶を駆逐する勢いであるように、それはどんな弾圧も侵略も決して滅ぼすことができない。このフォーク一本に巻きついたスパゲティのように頼りなく、しかし弾力を持って太い束となりえる、魂の自由さなのである。
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