のぞみ寮通信

光風館

2019/06/28

光風 28号「先週の地震」

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 いつも同じような写真になってしまいます。でもって、今日は写真とは関係のない話をさせてもらいます。先週の地震の話です。被災の状況がはっきりしなかったので、今日まで控えていました。幸いにも、寮生のご家族や卒業生に大きな被害がなかったので、あの時の出来事を紹介したいと思います。

 6月18日火曜日、その日は私自身ほとほと疲れていたのですが、女子寮のあっちの館の先生がお休みの日なので、この時ばかりとホームページの作成に取り掛かっているときでした。ポッケに入っていた、電話から何とも言えない警報音が聞こえます。その2日前、6月16日にも聞いた音です。その日は新潟地震の日。新潟市からの試験でながされた音です。一瞬、また試しているのか?なんて思ったのですが、すぐに携帯を確認すると、最近老眼がひどくなってきて、読みづらかったんですが、とにかく地震警報。すぐにテレビをつけ、館内放送で、「地震がくるから隠れろ!!」と叫んで、数秒後にドカンと縦揺れ。ふと、周りを見てみると、寮務室のテーブルの下に数名がうずくまっています。そして、そこに入れなかったF君がその場にうずくまっています。「イヤイヤ、そんなところでうずくまっていても意味ないから・・・。」と意外に冷静な私の一言。しばらく揺れが続いていました。揺れている最中、じっとしてればよかったんですが、それができないで、いろんなところを見廻る私。見事みんな机の下に隠れています。自分に落ち着けと言い聞かせると、揺れている最中に寮本部から東寮長の放送が流れています。揺れているにも関わらず、放送をかけ続けてくれたんです。ちょっと感動していたんですが、その放送の内容に思わず吹き出してしまします。「揺れています。地震です。これは訓練ではありません」ってわかってるちゅうに!誰が訓練で地球を揺らすか、とスピーカーに向けて突っ込み。揺れが収まると同時にもう一度、携帯から警報音。次は津波です。これにはさすがに焦りました。テレビによると、予想は1メートル。その数字を見て安心。でも、油断はできません。自然は私たちの予想をはるかに超えることもあります。さあどうすると考えてると、寮長からの避難指示が出ました。そこからは一瞬の出来事です。私はダッシュで4階まで行き、全員の避難を確認しようとしましたが、「非難!避難!」とそこらじゅうで声を掛け合っています。名古屋の彼は私をサポートするかのように一緒についてきて、各部屋を見てくれます。この光風館の一体感に私は大感動しました。

 しかし、その感動の裏で、10時22分。ドンピシャで風呂に入っていた生徒もいます。東京から来ている3年生のS平君。生まれたまんまの姿で、片手に服をもってダッシュで階段を下りていきます。この一大事に何故か非難する生徒を私は「ちょっと待て!!」と引き止めます。彼は、それでも避難しようとします。結構必死になって引き止め、生まれたまんまの姿のS平君に「まずは服を着なさい」と声をかけたんですが、彼はあたふたあたふた、その場で足踏み。「大丈夫!大丈夫だから、服を着な」と優しく声をかけ、一瞬目をそらして、彼を見ると、あっという間に着替え完了。どうやったらあんなに早く服を着れるのか?不思議でなりませんでしたが、とりあえず、これで外に出れます。女子寮も当然避難してくるわけですから、あのままでは大変です。

 そして館内を見回り、一時避難場所へ行くと、既に点呼も完了。全員の無事も当然。そして、避難指示のあった友愛館へ移動。友愛館での点呼も訓練の時以上の速さで並び問題なし。光風だけでなく、寮生全員の無事が、10時22分の揺れから、8分後には避難が完了し確認が取れたんです。この速さにはびっくりです。さらにはもしもの津波の時にもすぐに移動ができる体制が整えられていました。「これは訓練ではありません」の事態は初めてです。あの状況で、冷静かつ迅速に行動できた寮生はやっぱりすごいです。彼らの姿が、私達大人を落ち着かせてくれたことは間違いありません。しかし、これに満足することなく、もしもの時に備えておかなくてはならぬという教訓にもなりました。何よりも、何事もなかったことに感謝です。