敬和の学園生活

日常の風景

2019/06/25

特別授業-『自分をいかして生きる』

 6月11日(火)「地理A」「コミュニケーション英語I」「コミュニケーション英語Ⅲ」のクラスで講師をお招きして特別授業をしていただきました。

 

 講師は国際協力機構(JICA)職員で、パキスタン在住の中村真与さん。世界で2番目に学校に行けない子どもが多いパキスタンで、教育機会の普及を支援する働きをされています。

 

 中村さんが国際協力の道を選んだのは中学1年生の頃。病気で学校の欠席が続き、世界で一番自分がかわいそうだと思っていた時に目に留まったのは、インドで貧しい人々に愛を注ぐマザーテレサの姿だったと言います。そこから大学進学へするも学びたいことと違うと感じて退学し、アフリカ・モザンビークの教員養成学校でボランティアとして働かれました。物はないけれど持っているものは分け合うのが当たり前、「ありがとう」と言う必要ない社会を紹介してくださいました。また、現在働かれているパキスタンがどのような国か、様々な宗教の人がどのように互いを敬って暮らしているかなど、貴重なお話をたくさんしていただきました。

 

 約13年かけて準備をし、夢を実現された中村さんのエネルギーに圧倒されました。「ノミの天井」のお話が多くの生徒の心に残っています。

 

 「ノミは自分の150倍もの高さまでジャンプすることができるんだって。

  (人間に換算すると160cmの人が240m飛べるということ!)

  でもそのノミを箱に入れると天井にぶつかって痛い。

  しばらくしてその箱を取り除くと、その天井の高さまでしか飛ばなくなる。

  本当は飛べる力があるのにね、自分で限界を決めてしまっているんだよね。」

kenkyu01 kenkyu02 kenkyu04 kenkyu05 kenkyu06 kenkyu08 kenkyu09 kenkyu10 kenkyu12

 いくつか生徒の感想をご紹介いたします。

・私は今、そこそこお金も持っているし、食べたいと思うようなものも食べられるし、勉強をあまりしたくないと思っても、勉強ができる。こんな生活が当たり前だと思っていたけれど、あらためて本当に幸せな生活をしていたのだと思った。しかし、パキスタンの人たちの方がものに対する感謝は私たちよりちゃんとしていると思った。私もつらそうな人がいたらあたりまえに助けられる人になりたい。

・まず、JICAの存在を初めて知りました。他国に貢献している日本の組織があることが嬉しいです。「他国と共存・協力しないと今の暮らしはない」と聞いて、輸入品で生活がなりたっていることを改めて実感しました。パキスタンについても何も知らず、貧しい国としか思っていませんでしたが、想像以上に過酷な環境で驚きました。識字率58%、学齢期で学校へ行けない子どもが44%なんて日本ではありえません。でも、昔(戦後)の日本も他国からの助けで今があると思うと、共存・協力の大切さが分かります。話を聞いて、夢を持っている人、その夢に向かって努力している人、そしてその夢をかなえた人はかっこいいし輝いていると思いました。私はまだ夢はありませんが、持つことができたら、ノミの天井を外し、努力し、叶えたいと思います。

・僕が最も心に響いたのは、日本は教える役か、学ぶ役か、ということです。パキスタンでは支えあうのが当たり前ということに驚きました。道徳的な部分では、日本はまだまだ学ぶべき所があるなと実感しました。機会があれば日本が支援している国に行き、現地の人の話を聞いてみたいと思いました。

・パキスタンの人々の圧倒的自給力に驚いた。私たちのように便利すぎる環境でなくても、自分たちにできることを探して自分たちで何とかするという能力は、現代人である私たちが見習わなければならないことだと思った。また、そのような生活が苦しい人々に、ただお金や物資を提供することが本当のその人たちの発展に必要不可欠なのかというのは、難しい課題だと思った。私も中村さんのように夢のために努力を惜しまず、まずは実行してみようと思う。