今日のランチ

今日のランチ

2019/05/14

今日のランチ(2019.5.13)

ワカメごはん・サバゴマ竜田揚げ・マカロニサラダ・キムチ汁・牛乳・ミニクレープ

0513

 

 

「あんたよお、何でそんな格好になってるんだい」。マカロニサラダが、サバの全身を見ながら聞いた。当人のサバは全身にゴマを纏い、一見それと分からない姿になっている。なかなか衝撃的な様子だ。

「ん?気になるか?」サバがじろりとマカロニを見やり一言。しかし全く気にする素振りはない。

「いやだって、あんたそんなことしなくてもファンがたくさんいるじゃんかよ。そんな知名度の無い新参者のやるような奇抜なことしなくても、王道を行けばいいんじゃないの。あんたに覇道は似合わんよ」。マカロニは、味噌煮のサバのほうが好きなのであった。

「ふん、そう見えるかい。ありがたい言葉だけど、そうもいかねえ。守りに入ったら負けなのよ。良くて現状維持、普通はレベルが下がっていく。いままで安泰だったやり方を続けるのは、ある意味挑戦から逃げてるのよ。商売ってのはそうだろう?今までの味噌煮、塩焼き、寿司を続ける。それはそれでいいけど、そこにはまらなかったお客をいつ掴むんだい?新しいファンを獲得してこその成長なんじゃないか。それに、この試みは何も破れかぶれじゃない。ちゃんと美味しくなるよう計算してるのさ。今までサバの味がだめだった人でも食べれるよう、竜田揚げで癖を消し、口にした瞬間ゴマが一気に香り立つ。いままでのお客が満足するレベルを守りつつ、新規の若い客層にヒットするものになった。菜飯とのコンビネーションも計算済みよ。これでおれは天下を取る」

 マカロニは、嬉々として語るサバに相槌を打っている。そう言われるとなんだかゴマの鎧を身に纏った百戦錬磨の老将のように見えてきて、これはこれでありだなあと思い始める。挑戦か、そういえば俺は何のためにはるばる東の果ての国まで来たんだっけ、と胸の内でつぶやく。日本になじむため、ローカライズを繰り返し、広く浸透したものの、自分の矜持を見失ってしまったのだろうか、と考えながら、ますます目に輝きが増していくサバの言葉を聴いていた。

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