のぞみ寮通信

のぞみ通信

2018/11/29

のぞみ通信 2018年11月26日 第241号

予防接種を前に保健室でのめぐみ館礼拝

 

 

「めぐみ館の奇跡」 ~保健室での夕礼拝~
寮長 東 晴也
 11月8日(水)、その日はインフルエンザ予防接種の日でした。寮生は夕食後の7時過ぎから始まり、8時には終わる予定でした。ところが、当日準備していたワクチンが足りないことが分かり、とにかく不足分を看護師さんが病院から取って来るまで、接種が最後だっためぐみ館の生徒はその場で「待機」となりました。
 夕礼拝をする時間にはなるし、接種は終わらないしで、生徒達も小菅先生もこの事態にどう対処するか迷ったことでしょう。その時に、某生徒が「ここで夕礼拝しなぁーい」と提案したそうです。私はその日、めぐみ館の礼拝に参加することにしていたので、場所が「保健室で」と聞いた時、「はぁ?」と思って行ってみると、保健室はジャージ姿のめぐみ館の生徒たちで溢れていて、なんだか楽しそうでした。保健室にあるだけのベンチや、円椅子を並べ、足りないものは隣の浅間クラスから持ち込み、ソファまたは生徒の膝の上に、生徒達は重なるように座り、それでも足りないので床に腰を下ろして談笑していました。
 そして、校医の山口先生や看護師さんも同席のまま夕礼拝が始まりました。賛美歌「キリストにはかえられません」が狭い保健室に響きました。この瞬間、私はとても温かいものが湧き上がってくるのを感じました。生徒のお話が終わり、連絡の時間になると、小菅先生がこの緊急事態にみんなが臨機応変に対応してくれたこと、そして様々な方と共に礼拝を守ることが出来たことの感謝を声を少し震わせながら語ってくれました。そして森口先生もこの礼拝の感想と感謝を短く熱く述べ、保健室の佐柄先生は「私のワクチンの数え間違いが原因だったけれど、失敗はただの失敗ではなかった!」とにこやかに謝られた後、卒業生であるご自分の寮生時代のことも短く語って下さいました。
 最後に、山口先生(4回生卒)がご自分が医師を目指された高校時代のことを語って下さいました。「私は不登校になり、何もかも嫌になってもう死んでもいいと思っていた時に、出来たばかりの敬和学園を知って、転校して来たんです。ある時、ネパールで医療活動をしておられる岩村昇先生(JOCS日本キリスト教海外医療協力会)の講演を学校で聞く機会があって、私は感動したんです。お話の後、岩村先生が『この中で、将来医者となってくれる人はいませんか?』との問いかけに、私はすぐその場で『はい、私がなります』と言ってしまったんです。それが私が医師を志したきっかけです。」そしてさらに先生は「こんな礼拝を毎晩されているんですね。素敵ですね~。みんなの表情は明るくて素晴らしいですね。でも心の中の闇で苦しんでいる人もいるでしょう。そんな時は一人で悩まないで、友達や先生に相談して下さいね。……あっそうだ、もう一曲歌ってもいいですか?えーと、「いつくしみ深き」をお願いします。……(賛美)……アーメン」
 私はもう胸が一杯になって、礼拝が終わってもここにしばらく留まっていたいくらいでした。めぐみ館の皆さん、こんな豊かな心温まる礼拝を本当にありがとう。
 
 

< 寮生リレー 『世代交代 各委員会テーマ』 >
 
礼拝委員「お前の話、まじアーメン」
A.K(大望館2年 大阪府)
 今年の礼拝委員のテーマは「お前の話、まじアーメン」です。1年生のみなさんはご存じないかもしれませんが、2・3年生のみなさんはアーメンの意味を覚えているでしょうか?アーメンとはヘブライ語で「しかり・まことに・確かに」といった意味があり、今風に言うと「それな!」です。つまり、共感・同意の意が込められているということになります。
 のぞみ寮では、ほぼ毎日、誰かが礼拝のお話をします。同一人物が続けて話すことはめったにありません。高校生ならではの視点や価値観、意見や思想、またドラマティックでノンフィクションなお話に、多くのことを共感出来ると思います。この思春期の多感な時期に、いろいろな「それな!」と出会うことで自己形成の一つとなったり、自分への理解を深めたりすることに繋がるでしょう。また、将来の大きな財産になると思います。
 私たちは、みなさんの礼拝が円滑に進むよう、また実りある礼拝になるよう、些細なことから手助け出来ればと思っています。
 この敬和学園での寮生活で是非たくさんのお話と出会い、考え、そして「まじそれな、まじアーメン!」と共感することで心も体も豊かで健やかな成長があることを、私たち礼拝委員は願っています。
 
 
食事委員テーマ「ミチコちゃんに叱られる」~残食、ダメ、絶対~
S.M(みぎわ館2年 胎内市)
 食事委員の新テーマは、「ミチコちゃんに叱られる~残食、ダメ、絶対~」です。
 NHKの人気番組、「チコちゃんに叱られる」をご存知でしょうか?この番組では、5才のチコちゃんが問いかける素朴な疑問に答えられなかったり、知らないでいると、チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と叱られます。すぐに誰かに話したくなる情報満載の、新感覚な雑学クイズ・バラエティ番組です。その「チコちゃんに叱られる」をもじり、食事委員担当の先生の名前を使って、「ミチコちゃんに叱られる~残食、ダメ、絶対~」にしました。
  ところでみなさんは、のぞみ寮での食事に1年間でどのくらいのお金を私たちの保護者は支払ってくれているかご存知ですか?年間約38万円です。これを、月額にすると約35,000円になります。
  私たちの保護者は、私たちのためにこんなにお金を使ってくれているのです。それなのに、ほぼ毎日ご飯を残したり、そもそもおかずを取らなかったりしている人がたくさんいます。その行為は、月35,000円をドブに捨てていることと同じなのではないでしょうか。また、35,000円を時給810円のバイトで稼ぐとしたら、その労働時間は476時間にもなります。つまり、皆さんの保護者はそんなにも働いて、私たちの心と体の健康のために食費を払ってくれているのです。
 一見聞くと年間38万円は高額に思えます。しかし、この金額が高いのか?と言われれば、実はそうではありません。のぞみ寮の食事は一食平均で388円です。388円で食べられる外食を考えると、す〇屋の牛丼、丸〇製麺の素うどんくらいではないでしょうか。それと比べても、のぞみ寮の食事のボリュームとバラエティの豊富さは比になりません。この値段で、のぞみ寮の食事が食べられるなんて、実はとっても!お得なのです。
 皆さん、保護者が払ってくれている食費分、しっかり元を取れるように、食べませんか?遠くで私たちの事をいつも祈ってくれて、学費や寮費、食費を払ってくれている家族に感謝して過ごしませんか?おいしい食事を雨が降っても、風が吹いても、台風がきたって、提供してくれる調理師さん達に感謝して、毎日のご飯を大切に食べてみませんか?
 思っている以上に私たちの毎日の生活には、たくさんのお金と、たくさんの人たちの心と労力を頂いて成り立っています。そのことを心に留めて、感謝して、のぞみ寮生活をしっかり送っていきましょう。
 
 

整美委員「わが掃除に一片の悔いなし」
K.Y(大望館2年 新発田市)
 整美委員は委員会テーマを決めるにあたって、各館から出したテーマを多数決できめることにしました。大望館からは「清廉潔白」、光風館からは「立つ寮生、後を濁さず」、みぎわ館からは「当たり前のことを、バカにしないで、ちゃんとする」が出ました。
 どのテーマも個性的で魅力あふれていたのですが、最終的にめぐみ館の「わが掃除に一片の悔いなし」に決定しました。
 「わが掃除に一片の悔いなし」という言葉に憶えがある人もいると思います。そうです。この言葉はかつて少年ジャンプで連載していた「北斗の拳」に登場する敵キャラのラオウが、死ぬ間際に言った言葉です。意味は読んで字の通りで、悔いの残らないよう全力で掃除をしようというものです。
 整美委員は清潔で整理整頓された環境でみんなが快適に過ごせるように頑張っています。みんなも汚いのはイヤなはずです。どうせやるなら整美委員とともに、全力で掃除をしてみませんか。
 
 
 
生活規律委員「変革」
Y.S(大望館2年 三条市)
 今年のテーマは「変革」です。テーマ決めをする際に、去年よりすごくて、みんなが覚えていられて、それに向かって寮生活を行えるようなテーマにしようという意見になりました。僕たちは、みんなにいい方向に変わってほしいのではなく、どんな方向でもいいから変わってほしいという思いを込めていました。
 同じ大望館で、生活規律委員のK君が「変革なんていいんじゃない?」と言ってくれました。「変革」の意味は、変えて新しいものにすること。また、変わって新しいものになる事、というような意味です。この「変革」という言葉は、今の僕たち生活規律委員にぴったりの言葉でした。今年は、みなさんに覚えてもらえるように、ポスターも作りました。どうか来年までこのテーマを覚えていてください。
 最後に、今年の生活規律委員会のメンバーは、一人ひとりの個性が強く面白い人たちです。各館で生活規律の仕事内容は違うし、連携するのはとても難しいと思います。しかしそうであっても、各館で一生懸命頑張るのでよろしくお願いします。
 せっかく入学した敬和学園、入寮したのぞみ寮、自分の住んでいる館で、新しい自分を見つけて変われるように、変革できるように、僕たち生活規律委員が全力でみんなのことをことを支えたいと思います。
 
 
 

リサイクル委員テーマ「分別」
N.S(大望2年 新潟市)
 今年のリサイクル委員のテーマは「分別」です。なぜ、このテーマになったかというと、各館の共通目標が一緒だったからです。館によってリサイクルの仕方が違っているため、委員会のみんなと気持ちを合わせられるようなテーマにしたかったからです。
 ところで皆さんは、きちんと分別出来ているでしょうか。ここ近年、男子寮でも分別に対しての意識や、ごみの捨て方がよくなってきていると思います。しかしまだ、足りていないと思います。だからこそ、この分かりやすいテーマでやっていこうと思いました。
 こんなニュースを聞いたことはありますか?燃えるごみのところに大量の燃えないゴミが混ざったため、ガスが大量に発生し、ごみ焼却場が緊急停止したというニュースです。これは、他人ごとではないと思います。僕たちも毎日ごみを捨てるんですから。ごみを分別出来ていないと、知らないところでもいっぱい迷惑をかけることになるんです。
 分別をすること自体は難しくないと思います。もし、のぞみ寮でみんなが分別をせず、好き勝手にごみを各館で捨てていたら、悪臭が充満したり、ごみで散らかったりします。そんなことにはなりたくないと思います。きちんとリサイクルしていきましょう。みんなが気持ちよく、きれいな館内で過ごせるような環境を、僕たちは各館で目指していきたいと思います。
 
 
 
 
 
行事委員テーマ「No enjoy, No life.」 ~We will give you happiness.~
O.A(みぎわ館2年 胎内市)
 新しい行事委員のテーマは「No enjoy, No life. ~We will give you happiness.~」です。
 皆さん、「No enjoy, No life」の意味を知っていますか?日本語で翻訳すると、楽しくなきゃ人生じゃないという意味です。人生というと少し大げさかもしれませんが、寮生活というものは、皆さん一人ひとりの人生にとても大きな影響を与えるものだと思います。長い人生において、たった3年間ですが、私たちにとって大切な3年間です。その3年間を少しでも楽しく寮で過ごしてもらうために、このテーマにしました。
 副題のWe will give you happiness.の通り、私たち行事委員は、皆さんに幸せや楽しさを届けられるような、たくさんの行事をつくっていきたいです。
 寮生は通生よりも一日の中で友達や先輩、後輩と関わることが多く、寮生でしか出来ないことがたくさんあります。だから、先輩、後輩関係なく楽しめ、皆さんが卒業するときに「寮の行事楽しかった、寮生でよかった」と言ってもらえるような思い出になる行事をたくさん企画し、実行していきたいです。
 
 
 


< 礼拝のお話より >
「自慢できる変な自分」 Y.N(光風館3年 愛知県)
 私は18年間、悩みというほど深刻なものではありませんが、不思議に思っていることがあります。それは「Y.Nは変な人」と言われることが多いことです。
 幼稚園でも、小学校でも、中学校でも、そして敬和でも、ずっと「変な人」と言われてきました。驚きなのは、いわゆる変な学校の敬和でも「変な人」と呼ばれたことです。しかも、これまで以上に「変な人」と言われる回数が増えました。入寮最初の部屋の3年生、教師歴30年のベテランの先生、親友や部活、その他多くの人に、変な人と言われてきました。たぶん、皆さんの中にも「Y.Nが変人?何をいまさら」と思っている人がいると思います。これだけの人が言うのだから、私は変な人なのだと思います。
 Y.Nは変な人です。廊下で歌っていて、なんか変な言葉を唱えている。いつでも分厚い本を読んでいるのに、いきなり漫画を読んでいる。五七五七七の和歌が大好きで、茶道も習っていた。クラシックや合唱について熱く語るかと思いきや、ボーカロイドの話をし始める。堅物に見えて、意外と軽い。静かな人に見えると言われるけれど、しゃべりだすと長い。いろんなよくわからないところを持っています。
 自分でも変な人だなと思います。普通、中学生でラテン語やキリスト教や和歌にははまらないでしょう。小学生で茶道を習うのも変な人です。私のベッドサイドには少年漫画、少女漫画、歴史書、小説、ライトノベル、キリスト教の研究書、古典が並んでいます。無茶苦茶です。
 最近、ブレーキが壊れたのか、市立図書館で能楽や歌舞伎のDVDを借りてきたり、写経と言って、中国語の聖書を写していたり、お香を調合しようと計画したり、完全に変な人です。敬和だから「変な人」で済んでいますが、敬和の外では「ヤバい人」だと思います。
 なぜ、こんな変な人自慢をしているかというと、私は今年、激動の生活の中で「変な人」であることが神さまの賜物だと思ったからです。
 変な人で、変な性格をしていますが、たぶん、一つでも無くなったら私は私ではありません。ちょっと特殊な生まれ育った環境や変な方向へ向った興味、そしてその興味から出会った人のおかげで今の私があります。そういう意味では恵まれていました。
 もちろん、いいことばかりではありません。私は他人にはよくわからない、一見矛盾したようにも見える性格が一つの原因となって大騒ぎになったこともあります。だいたい、その度にせめて性格だけでも直そうとしましたが、基本、三日坊主です。おそらくは死ぬまでY.Nは変な人というスタンスで生きていくのだと思います。ちなみに変な人、Y.Nが心の中で希望している進路は田舎に住んで、畑を耕しながら思う存分、古典の研究や和歌や茶道に没頭して、ある日ぽっくり死ぬというものです。とはいえ、これは絶対無理なので、出来るだけこれに近い生き方を目指します。
 私はいろんな人に支えられて、ある意味では変な人になる手助けを受けて、生きてきました。実際、鬱陶しいことこの上ないとは思いますが、少なくとも誰かの助けになる人になれないかなと思っています。最後に詩を一つ紹介します。
 
 大きなことを成し遂げるために強さを与えてほしいと神に求めたのに、謙遜を学ぶように弱さを授かった。
 偉大なことができるようにと健康を求めたのに、より素晴らしいことをするようにと病気を授かった。
 幸せを求めて富を求めたのに、知恵を使うようにと貧困を授かった。
 人々の称賛を得ようと力と成功を求めたのに、神の手助けを望むようにと弱さを与えられた。
 人生を楽しもうとあらゆるものを求めたのに、あらゆるものを楽しむために人生を授かった。
 求めたものは一つも与えられなかったが、祈りはすべて聞き届けられた私は、誰よりも豊かに祝福されたのだ
(ある無名兵士の詩)

前運営委員メンバー

 
 
 
 
 

教師から一言
「神様、ありがとうございます」 森口 みち子(女子寮務教師)
  「寮生は互いをとても想いやっているからこそ、家族のように過ごせているのだと知った」これは寮体験プログラムに参加してくれたある通学生の感想です。
 たった一週間の体験で感じ取ってもらえるほど、互いを想いやって過ごせている寮生たちの在り方を教えてもらい、私の心は温かく震えました。
 先日、寮の夕礼拝で「やっと帰ってきてくれた仲間がいること、とても嬉しいです。神様、ありがとうございます」と声を震わせながら祈ってくれた寮生がいました。互いを大切にしていることを明らかに表現してくれた一瞬に立ち会え、私は涙が出そうになりました。あなたがそこにいる、ということをただただ喜び合える寮生の姿は、私にとっても生きる上で大切なものを教えてくれます。
 3年生と共に過ごせる残り僅かな時間を本当の意味で、共に大切にしていきたい。寮生とののぞみ寮での出会い、神様ありがとうございます。