今日のランチ

今日のランチ

2018/09/21

今日のランチ(2018.9.21)

ソフト麺(和風汁)・イカ天ぷら・ほうれん草胡麻和え・牛乳・ミニクレープ

0921

 

夏の夜、沖には毎晩イカ釣船の集魚灯がきらきらと輝いている。
新潟の海沿いで生まれて育った私には見慣れた風景だ。
新潟ではこのイカ釣り船でスルメイカが多く穫れる。
だから、新潟では一夜干しスルメを天ぷらにするのが一般的。
小さいころ、天ぷらをあげるばぁちゃんの足元にまとわりついて揚げたてを何個もねだったなぁ。

でも全国的には天ぷらうどんのイカというと、身の厚いイカのアオリイカやモンゴウイカが一般的かも。

あれはもうずっと前の夏。
四国の海に潜っていたときのこと。
台風後の何もない海底に、枯れ枝が束でくくりつけられたコンクリートブロックが見えた。
枯れ枝の束の近くに「まくら」がふたつ、浮いていた。
近づくと「まくら」は、2匹のアオリイカだった。
1匹は枯れ枝に「突っ込んで、戻る」をゆっくりゆっくり何度も何度も繰り返していた。
もう1匹はかなり大きくて、全身をイルミネーションのようにチカチカさせながらカラダの周りのフリルをヒラヒラさせて、コチラをギョロリと睨みつけていた。

2匹は夫婦だった。
雌は2匹の大切な卵を一つづつ枝に産み付けていた。強い潮に流されてしまわないように丁寧に丁寧にしっかりと。
雄はそんな雌により添い、彼女を守っていた。産卵中に敵が彼女と大切な卵に近づかないよう威嚇し、また、もし何かがあれば自分が敵に立ち向かうつもりだと無言で周囲に示していた。

産まれ、捕食や人間の漁から逃げ抜き、成長して、恋をして、次の世代に無事に命を受け渡した彼らは、このあと間もなく力尽きて死ぬ。
アオリイカでは、たった一年の生涯を全うできるのは1%に遠く届かない。

食卓に上がるということは、それは次に命を受け継ぐまでに辿り着かなかった命ということ。
それをいただいて、私たちは命を.明日へつないでいる。
私たちは食べた物たちの命を受け継いで、それらの命とともに生きているということなのかもしれません。
毎日の食事。お皿にのっているのはモノと思わず、大切に食べましょうね。

余談ですが、わたしは「イカのてんぷら」という言葉の響きが軽やかで楽しくって、大好きです。どうか声に出して、味わってみてください。

「イカのてんぷら」

(M.I)