今日のランチ

今日のランチ

2018/09/14

今日のランチ(2018.9.14)

豚キムチ丼・中華スープ・牛乳・アセロラヨーグルト

0914

 

 豚とキムチは現在のような同盟関係を最初から結んでいた訳ではなかった。

 豚は生姜焼き、豚汁、カレー、どの場面でも主役を張り、キムチも何にでも合う柔軟さを誇り、殊更歩み寄るつもりは無かった。

 状況の変化はチキンの台頭によってもたらされる。

 牛と豚は価格帯の違いから互いの領域に干渉せず、バランスを取っていた。ところが、チキンは安い。豚は脅威を感じた。予感は現実となり、まずカレー分野においてチキンカレーは猛威を振るい、存在を十分に見せ付けた。

 続いてチキンは照り焼きで十分おかずのメインとなることを示した。効果は絶大であり、チキンはあっという間に人気食材に躍り出たのである。また時代も良かった。健康志向の現代にあってヘルシーなチキンは、若年層の支持を得た。

 豚は歯軋りした。おごる平家は久しからず。次第に一ヶ月のメニューで領土を広げつつあるチキンになすすべなく立ちすくんだ。ヘルシーさという点ではどう考えてもチキンに勝てない。このまま消えるのか。

 万事休す、その時、豚の脳裏に稲妻が走る。豚は、キムチに同盟を持ちかけた。キムチは驚いた。かつて絶対的エースの豚が頭を下げてくるとは。しかしキムチにも旨味のある話だった。強烈な辛さによってコアなファンを多く持つキムチだが、それゆえ万人受けが必要となる学校ランチメニューには不向き。ここで豚と手を組むことによってあらたな領土を獲得できるはずだ。

 かくして豚とキムチは手を組んだ。豚はヘルシーさを押し出す健康志向ではなく、男子運動部を中心としたガッツリ派をターゲットにしたのである。相手と同じことをしていても勝てない。独自性こそが活路であった。同盟の名は豚キムチ丼。登場から圧倒的な支持を集め、再び豚はランチの頂点に上り詰めたのである。

 以上が豚キムチ丼誕生の経緯である。この後、豚、牛、鶏の三すくみに対し、古豪鮭が参戦、更にダークホースのイカが麺と手を組み忍び寄るのだが、それはまた別の話。

(M.M)