のぞみ寮通信

みぎわ館

2018/06/21

みぎわ館通信 2018年6月20日 第283号

誕生日のお祝いをみんなで☆

 「会議室を51回生で使わせてください!」と1年生達がよく言いに来ます。会議室で何をするのだろうと様子を見ていると、1年生の仲間の誕生日のお祝いをサプライズで行っていました。

 実は1年生達、入寮してすぐに自分たちでこの企画を考えました。会議室の壁に、簡単な飾りを付けて、お菓子をみんなで持ち寄って、特別なケーキや食べ物はなくても、みんなで揃ってお祝いできるだけで特別な時間になるのだから不思議です。

 学年みんなで集まって一人の仲間のために誕生日のお祝いをすると決めても、そう簡単にできるものではないと思っていたので、私も1年生達の行動力に驚かされました。

 週末はフリーに過ごせるとても貴重な時間です。平日は学校に部活と忙しい日々を送っているので、フリーの日はゆっくり休みたくなります。自由に過ごしたくなります。家に帰る仲間だっています。それでも月に1回または2回、仲間のために誕生会を開いてあげようと考えた1年生達の姿を見て、2・3年生が「仲がいいね~!素敵だね!」と褒めてくれるほどです。(小林)

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51回生集まれ~!☆

 ゴールデンウィークが明けてすぐ、1年生達を呼び集めたことがありました。一か月間の寮生活を振り返って感じたことや考えていることなど、1年生達の素直な気持ちを聞きたいなと思ったからです。楽しいと思うこともあればその反面、家族に会いたくなって寂しくなることも。1年生の仕事を覚えることが大変だったり、寮生活で慣れることで精いっぱいだったり……。様々な気持ちを吐き出しながら仲間の気持ちを聞きました。自然に涙が出てくる話をしてくれた仲間もいました。寮生活だけでなく、学校生活でも悩んでいることをみんなに話す生徒もいました。同じ学年の仲間だからこそ言えることがあります。聞いてあげられることがあります。みぎわ館で出会った同じ学年の仲間同士の絆をもっともっと深めていって欲しいなと強く思えた時間でした。

 そんな1年生、さっそく先日には「ミーティングをやりたいです!」と声をかけてくれた生徒がいました。この間のように、またみんなと集まって話がしたいと思い、呼びかけてくれたのです。呼びかけてくれた仲間にみんなで「今日はありがとう~!」と言葉をかける姿も微笑ましいものでした。

 2・3年生が自分たちのチームについて最近よくミーティングをしています。お互いのことを本当によく知るためには自分から話をすることは大切。相手の気持ちや性格を受け止めてあげることも大切。そんなことを感じている先輩達。そんな先輩たちの姿や雰囲気がきっと自然に1年生達にも伝わっているのではないかと思わされます。先輩たちに負けない素敵なチームを51回生達も目指して欲しいと思います。(小林)

 

 

 

礼拝のお話

「そのままのあなたが大好き」   2年 W.Y

 みなさんはマックス・ルケードさんが書いた『そのままのきみがすき』という絵本をご存知ですか?題名を聞いただけで想像がつくかと思いますが、とても心温まる内容の優しい絵本です。

 この絵本の内容を紹介します。とある国の小さな村に親のいない5人の兄弟が、力を合わせて暮らしていました。それを知った王様は、父親となり彼らを迎えに行くことを決めました。そのことを聞いた村人たちは、「王様にいいところを見せなきゃね。」「お城ってところは、素晴らしい才能のある人だけが住めるんだから。」などと、彼らに声をかけます。兄弟たちは、王様に気に入ってもらえるようにそれぞれ特技を生かして贈り物をすることにしました。上のお兄さんは彫刻。上のお姉さんは音楽。下のお兄さんは豊富な知識。王様に褒めてほしかったから一生懸命準備しました。ところが、末の女の子はひたすら不器用で何もできません。何もあげるものがありません。お兄さんお姉さんに「教えてほしい。」とお願いに行ってみたのですが、「そんな暇はない。」「王様が来られるのがわからないの?」と追い払われてしまいます。何のとりえもない彼女。しかし、彼女にはとても優しい心がありました。素直で、心のやわらかな子で、みんなが知らん顔をするような人とも友達になることができました。貧しい人でもお金持ちでもそんなことは関係ないのです。そんなある日、商人の格好をした男の人が人を探しに村にやって来ました。動物の世話が上手な末の女の子は、その男の人にロバの世話を頼まれます。男の人は無事、人を見つけることができたのですが、「時間がないから後にして。」と言われたり、周りから「あの人の邪魔をしちゃいけない。」と言われたりと話をさせてもらえませんでした。この男の人は王様だったのです。それを知り、驚く末の女の子に王様は語りかけます。

 「王様でいることは、寂しい時もある。周りの人から特別扱いされるだろう?お願い事に来られたり、ちやほやされたり。そうかと思えば、文句を言われる。私だってみんなと話をしたい時があるんだよ。ただお父さんとして、みんながどんな一日を過ごしたかを聞いて、一緒に笑ったり泣いたりしたいんだ。大人は、どうすれば私によく思われるだろうと考えるけど、子どもはそうじゃない。わたしがありのままを愛していることを知っているんだ。」

 これを聞いた末の妹は、次のように言いました。「私は才能も贈り物もないけれど、王様の子どもになりたいよ。」と。それを聞いた王様は、「私の可愛い子よ。私はそのままのお前が大好きなんだよ。」と言いました。王様が求めていたものは、タレントや才能ではありませんでした。王様は、ただ動物に優しい心や他人に優しい心が好きでした。それだけだったのです。

 私たちが生きるこの社会では、素晴らしい特技や才能が褒めたたえられます。反対に、何もとりえがなく悲しんでいる人もいます。特別な才能を持たない人が世の中にいても当たり前です。たとえ、とても優しい心を持っていたとしても、それは社会では軽視されがちです。「優しさ」はとても素敵なことなのに。

 本の中で王様は「そのままのお前が大好きなんだ。」と語りかけています。この言葉は、神様からの私たちへ向けたメッセージだと思っています。私たちはきっと、「こうして愛されない」「こうしてはならない」という固定概念をもって生きています。誰かに愛されるために、必死になって無理に背伸びをしたり自分を飾ってみたりします。人前で「いいえ」と言いたくても、「はい」と言って、家に帰ってきた時「出来ないと言えばよかった」と後悔したなんてことはありませんか?私たちは人間です。できないことがあって当たり前です。失敗して悲しかったり寂しかったり愛が欲しかったりしたら、この話を思い出してみてください。私は神様なんて信じないからと壁をつくってしまうのではなく、素直な気持ちで思い出して受け入れてみてください。そのままのあなたが大好きだと言ってくれる人がいるということを。できなくていいんです。だめだめでも大丈夫です。ありのままのあなたを愛してくれる存在があります。