今日のランチ

今日のランチ

2018/05/11

今日のランチ(2018.5.11)

ハヤシライス・生野菜サラダ・コンソメスープ・牛乳・ヨーグルト

0511

 

 先日、卒業生のNがやってきた。

 東京で暮らしていたが、しんどいことがあって新潟に帰ってきていた。

 そこへ、別の卒業生Aが遊びに来た。

 Aは、大学卒業を目前に、白血病になってしまい、休学を余儀なくされたのだが、幸い、良い薬が見つかって一命をとりとめ、回復の挨拶に来たのだった。

 二人は部活動の先輩後輩の間柄で、偶然の再会に喜んだ。

 「心配してたんだよ、大丈夫?」とN。

 「白血病と診断されて、もう死ぬのかと思ったけど、良い薬がみつかって、命拾いしました」とA。

 「これからどうするの?」

 「大学に復学して、とにかく卒業します。それから看護学校に行きます。看護師になって、病気の人を元気にしたいんです。」

 Aは卒業後、一般企業に就職が決まっていた。

 「そうなんだ。すごいなあ」Nは涙を流して後輩の回復を喜んだ。

 

 一度死にかけた経験を持つひとは、本当にやりたいことをやろうと思うようになる。同時に、拾った命を自分のためだけに使うのではなく、誰かの役に立てたいと思うようになるという。自分の金を人に分けてやる人は少ないが、拾った金なら気前良く分けられるのと同じだ。

 良く考えてみると、俺たちだって明日をも知れない身だ。命は自分で作ったわけじゃなく、天から貰ったものだ。

 ところが、生きていることを当たり前に思って、人生を大切にすることを忘れている。そして三十年後のことを考えて、砂を噛む様な毎日を送ったり、あるいは自分さえ良ければいいという風になってしまう。

 

 「先生、わたしもね、一度死んだと思って頑張る。」

 Aが帰ったあと、Nはぽつりと言った。

(T.H)