毎日の礼拝

校長のお話

2018/05/07

「真摯な姿勢」(ルカによる福音書 6:43-45)

 4月22日 平昌オリンピックフィギュアスケート男子シングルで金メダルを獲得した羽生結弦選手の祝賀パレードが仙台市で行われました。

その折のパレート終了後の羽生ファンのマナーが話題になりました。

10万8千人を超える人たちが詰めかけただけに大量のごみが散乱することも想定されましたが、終わってみればボランティアも「拾うごみがない」と驚くほどだったそうです。

実は事前にファン同士がごみ袋を持参するよう呼びかけていて、実行委員会も「沿道の皆さんによくしていただいた」と“金メダル”マナーに大喜びだったというのです。

 

 パレードのスタートから約10分後。

出発地点になった道路で、水色のジャンパーを着たボランティアの大学生ら約20人がごみ拾いを開始しました。

しかし、大通りを100メートル以上歩いて集まったごみは、家庭用ごみ袋1枚にまとめても十分余裕がある程度でした。

一人3枚ずつビニール袋を用意しましたが、ボランティアの人たちが「拾うごみがない」と想定外の少なさに驚きの声を漏らしたというのです。

 

 貢献したのは羽生ファンです。

事前にファン同士が「終了後にごみを1つ拾ってほしい」とか「ごみ拾いして帰る」とツイッターなどSNSを通じて呼びかけていたのです。

仙台市の30代女性は、家庭用ごみ袋を持参しました。

「羽生くんも地元にごみが散らばることを望んでいないと思うので、しっかり準備してきた」と取材に笑顔で応えました。

市内の大学に通う19歳の女性は「ゆづくんがあれだけ真摯(しんし)な姿を見せているんだから、困らせちゃいけない」と語っていました。

パレード実行委員会の会長は「ごみが散乱していたという報告はなく、沿道の方々にマナーをよくしていただいた」と金メダル級の評価で感謝を述べたと報道されています。

 

 羽生選手の演技に魅力を感じるファンはたくさんいます。

その演技は美しいだけではありません。

特に彼は注目されていた選手でしたからスポーツニュースやドキュメンタリーで取材され特集されていました。

その中でも仙台を練習拠点にしていた時に東日本大震災に見舞われ、練習拠点のスケートリンクが使えなくなり大変困ったこと、こんな時にスケートなんてやっていていいのかと悩んだこと、たくさんの人に支えられたこと、その感謝はスケートの演技でしか恩返しができないと腹をくくったこと、だから感謝を込めて演技するのだということが繰り返し報道されました。

ですからファンは全国から仙台に集まりゴミを拾って帰ったのです。

「ゆづくんがあれだけ真摯な姿を見せているのに困らせちゃいけない」というファンの発言はそれを表していると思います。

 

 羽生パレードは尊敬する相手が大切にしている価値観を私もまた大切にしたいという気持ちが世の中や物事を良い方向へ変えていく大きな力になるということを教えてくれています。

 

今日の聖書は何の脈絡もなく結果があるのではないことが記されています。

良い実を結ぶにせよ 悪い実を結ぶにせよ そこには理由や過程があります。

何の準備もなく、何の努力せずに夢のような現実は現れません。

努力をしても練習を重ねても失敗することだって珍しくありません。

でも自分の思うような結果を得たければ、それにふさわしい行動が求められます。

 

羽生ファンが言った「真摯」という言葉ですが

  真・・・本当のこと

  摯・・・まじめ、しっかりとつかみ取る の意です。

今週は第一定期一週間前です。

一年生は初めての定期テストにどきどきしながら、でも高校生になったのだから頑張りたいと思っている人も多いでしょう。

頑張りたいと思う人の気持ちを邪魔する人 残念です。

しっかり授業を受けたい、理解したいと考えている人のことを、もしダサいと口にしているあなた、あなたがダサいです。

フェスティバルや部活動に一生懸命な先輩の呼びかけに心から耳を傾けることのできない人 もったいないです。成長するチャンスを自ら捨てています。

仲間が先輩が教職員が見せてくれる真摯な姿を見逃さない様にしてほしいと思います。

真摯な姿から何かを学び取れる一人ひとりであってほしいと願います。

その機会は神様が一人一人に備えてくださっています。