毎日の礼拝

校長のお話

2018/04/20

「かっこいい先輩」(詩編12:6-8) ~始業礼拝でのお話~

 何年か前の4月ことです。ぴかぴかの一年生と思われる二人がいました。黄色い丸いつばの帽子をかぶり、ランドセルには黄色いビニールのカバーが掛けられていて、見るからに何日か前に入学したであろう男の子と女の子でした。

 二人はしっかりと手をつなぎ緊張してその場に固まっているようでした。少しお姉さんお兄さんとおぼしき三人組が20メートルほど後ろで様子を見ています。そこは交通量は少ないものの結構大きな通りでした。2車線分くらいたっぷり幅の広い通りです。一年生の二人は何度も何度も左右を確認し、緊張感いっぱいにしっかり手をつなぎ合い、一気に走って渡って行きました。

 

その様子を見ていた三人組の会話です。

「よかったね。自分たちで渡れたね。」

「ダメなら一緒に渡ろうって言おうと思ってたよ」

「あそこ 慣れるまで怖いんだよね」

「そうそう」

「私も去年 すごく怖かったもんね。」

「オレも」

「私も」

「明日も見かけたら後ろで待っていてあげようね」

「うん」

 

 この会話から三人組は二年生だとわかりました。そこには見守る上級生がいました。ただやさしく見守るというだけではありません。去年の自分たちの怖かった体験が元になっています。それを思い出して、今目の前にいる後輩の不安や怖さに共感しています。その上で見守っているのです。めちゃくちゃかっこいい先輩だなと思いました。

 

 先日の入学準備会で新入予定者にこうお話ししました。自分でやるということ 自立するということは大切なことです。「え?全部自分でやらなきゃいけないの?」「誰にも頼れないの?」と不安になった人大丈夫です。そのために教職員がいます。先輩がいます。ご家族がいます。みんな皆さんを見守っています。ですからたくさん質問してください。たくさん相談してください。こうお話ししました。

 

 きっとたくさん聞かれると思います。一年前 二年前に感じたあの不安を思い出してください。その思いに共感した上で「大丈夫だよ」と教えてあげてください。見守る先輩になってください。誰よりも見守ってくださるのは神様だとキリスト教では考えています。でも神様は直接触れたり声が聞こえたりするわけではありません。人を通して神様が語るのです。

 皆さんも見守られています。見守られているから大丈夫です。見守りの中で皆さんも上級生としての準備を整えていくのです。それぞれの本気の準備が成長へと皆さんを導きます。

 明日 いよいよ新入生が敬和にやってきます。今日から新しい学年の歩みが始まります。今年度も一日一日を丁寧に大切に過ごしていきましょう。