今日のランチ

今日のランチ

2017/12/15

今日のランチ(2017.12.15)

チキンカレー・チーズサラダ・コンソメスープ・牛乳・ヨーグルト

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俺が会社を辞めた頃、よく読んでいた本に、福井達雨先生の「アホかて生きているんや」があった。

人間の価値は学歴やお金や地位みたいな人間の作ったモノサシでは測れない。

生まれながらに神さまから与えられた、誰も奪うことのできない価値がある。

たとえ知的障がいがあったとしても、いやむしろ人間の作ったモノサシで測れば最も小さな存在が、この世界を救っているのだ。

福井先生はそう教えてくれた。

 

会社を辞め、田舎暮らしをしていた俺は、突然思い立って、知的障がいを持つ人たちの暮らす施設、岩手県にある「カナンの園」に、ボランティアに出かけることにした。

俺が教えていた、教会学校の高校生会に、「カナンの園」の当時の理事長H先生のお嬢さんがいて、受け入れをお願いしてもらった。

俺は「カナンの園」で、二週間、羊を飼う広大な牧草地で、牧柵づくりをした。

そこに暮らす人々の、裏表のない、飾らない人柄と接するうちに、体にこびりついた諸々がとれていって、子供みたいな自分だけが残った。

大切な二週間になった。

「カナンの園」では、職員のWさんに良くしてもらったが、このWさんは、キリスト教界では結構知られた、「みことばせんべい」の製作者でもあった。

 

会社を辞めて一年後、敬和学園高校に勤め始めた。

初めてクラス担任を持った23回生のそのクラスに、なんと、Wさんの息子さんがいた。

もう一つ面白い話がある。

十数年後、敬和学園高校の修養会で「カナンの園」へ行った。

労作内容に、ペンキ塗りや、家畜の世話などに混じって、「古い牧柵の解体」というのがあり、俺はたまたまその係りになった。

広い牧草地で、古い牧柵を解体していると、何か風景に見覚えがある。

そして思い出した。

今、俺が解体しているのは、十数年前に俺が作った牧柵だったんだ。

牧場の空は、昔と変わらぬ、真っ青な大きな空だった。

(T.H)