のぞみ寮通信

のぞみ通信

2017/11/29

のぞみ通信 2017年11月26日 第232号

新のぞみ寮運営委員長メンバー

 

敬和学園50周年 ~太夫浜に立ち続けて~」

寮長 東 晴也

 映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の中に、タイムマシンで過去の世界にタイムスリップした主人公の高校生マーティが、未来の両親になる高校生男女がダンスパーティーでカップルにならなくなりそうな場面で、突然息苦しくなり自分の手が透明に霞んでいくシーンがありました。現実の原因となる過去の事実が無くなると、現実そのものが消えていくことを象徴するシーンでした。

 9月30日、りゅーとぴあとANAクラウンプラザホテルで行われた法人・高校50周年大学25周年記念式典の祝賀会の中で、私は同じような感覚に陥りました。歴代の校長、教職員をはじめ本当に多くの卒業生・関係者が集って下さいました。榎本栄次前校長先生の周りに、鈴木孝二先生の周りに、石川学先生の周りに……と、それぞれの恩師の周りに親交のあった卒業生がおのおの集まり、輪を作って話に花を咲かせている様は、まるで「大きな家族」のように私には見えました。このような方々が、教室で、チャペルで、グランドで、労作畑で、寮で出会って、その交わりを深めていなければ、今日の敬和学園の現実は無かったのだと実感させられた瞬間でした。

 「家族」とは、私にとって「そこに生きていてくれるだけでいい存在」です。それと同じような感覚を、私は祝賀会のそれぞれの輪の中に感じたのです。それは紛れもなく、敬和学園が創立以来「生徒の存在そのものを大切にしてきた」ことの証しであるとさえ感じました。これは自画自賛に聞こえてしまうかもしれません。

 私は50周年記念誌の編集にも携わったのですが、特に草創期には、本当に多くの試練がありました。その山あり谷ありの敬和の歩みを根底から支え、開校し続けることができたのは、建学の精神「敬神愛人」に要約される聖書の御言葉を信じ、目の前のひとりの生徒を大切にしようとしてきた教育を、日々営々と貫いて来たから、ただそれだけだとしか言いようがないのです。だとするなら、これからの敬和学園の目指すべき歩みも明白です。

 毎年りんごジュースを送ってくださる青森の卒業生、寮生と寮務教師にマッサージをするために東京から来てくれる若い卒業生、クリスマスのリース作りを教えに来て下さる卒業生……。その他多くの卒業生や保護者の皆様に祈られ支えられていることに感謝し、太夫浜に集う若者と共に、今日この一日の歩みを全うすることができますように。

 

 

 

全体礼拝の話より 「各委員会テーマ」

生活規律委員「OUR STYLE」

N.S(大望館館2年 福岡県)

 突然ですが、皆さんは生活規律に対してどのような印象を持っているでしょうか。朝の放送やルールの変更でしょうか。私達は委員会でこのようなことを話したところ各館、特に男子寮と女子寮で私たちの委員会の在り方が違うことに気づきました。男子寮では意識していなかったルールの変更に対し、女子寮はとても熱く具体的に、どこどこを変えたいと考えていました。

1126_no02 そんな中でテーマを決める私たちは、共通してよくしたい事を見つけるのがとても難しく、話し合いが長くなり、それぞれの館でありのままでいいじゃないかという意見が出ました。その結果、今年の生活規律委員のテーマは「OUR STYLE」になりました。
 意味はそのままで「私たちのスタイル」です。自虐的になりますが、生活規律は委員会で集まって、何かを企画したりすることはあまりありません。それを認めたうえで、私たちはそれぞれの館で、それぞれの館らしい委員会を作っていきます。また、私は生活規律というものは生活規律委員だけでなく、のぞみ寮で生活する全員で作っていくものだと思います。
 そのために「OUR STYLE」、この言葉を胸にもっと広い視野を持ちつつ多くの意見を反映できるように努力をしていきたいと思います。

 

 

 

食事委員「食事に感謝 ~お残しは許しまへんでぇ~」

Y.M(みぎわ館2年 東京都)

 友愛館で毎日3食用意してもらっている私たちの食事ですが、残さずきっちり食べている人はこの中にどれぐらいいるでしょうか。よく考えると、「残す」と言うことは、とてもひどいことをしているという事に気がつかされます。
 今年の2年生の修養会の一環で小林農園さんから子豚が2頭、敬和にやってきました。たった2ヶ月間、分担し合って育ててきましたが、それだけで大変でした。小林農園の人たちは子豚が生まれたときから、集荷されるまで世話をし続けます。こんな方々がいるから、私たちはいつもおいしく豚肉料理を食べることが出来ます。

1126_no03 お米だって、半年もの時間をかけて、農家の人たちが愛情と手間をいっぱいかけてくださり、私たちの食卓に並び、おいしくいただくことが出来ます。「残す」と言うことは、この人たちの気持ちも、かけた時間も、何もかも捨てているということなのです。
 そして、私たちにご飯を作ってくださっているのは、栄養士の五十嵐さんと調理の方たちです。当たり前のことですが、捨てられることが前提で、食事が作られているわけありません。「おなかいっぱいになって、幸せになって欲しい」という思いで作ってくださっているでしょう。
 私たちが食事をとれるのも、沢山の人の手間と心がこもっているからだと、テーマを決めるに当たり、改めて考えさせられました。是非、おなかをすかせて友愛館に来てください。残さず食べてください。そして、食事の前後には、私たちのために作ってくださった、厨房の調理師さんたちに「いただきます」と「ごちそうさまでした」を直接伝えてください。
 私たちの食事のために寄せられている、沢山の心に感謝して、残食なく、しっかり食べられるのぞみ寮に、みんなでしていきましょう。

 

 

 

整美委員「24時間」

S.H(大望館2年 神奈川県)

 皆さんは整美委員にどんな印象を持っているでしょうか?「忙しそう!」「チェックをつけたがる」等いろいろあると思いますが、今年一年頑張っていきますのでよろしくお願いします。
 各館の整美委員長が集まり、整美委員会の全体のテーマ決めをしました。まずは、各館のテーマを共有しました。めぐみ館「チェックを減らす」みぎわ間「毎日の掃除でごみを見捨てない」光風館「パット見きれいな光風館」大望館「常にきれいを心掛ける愉快な掃除」でした。
 各館それぞれに目標があり、テーマ決めをしていました。それを踏まえて、全体のテーマ決めをしました。様々なテーマの候補が上がった中で「24時間」と決定しました。「24時間」には、「いつでもキレイな環境が整えられている」「24時間ずっときれいなのぞみ寮」という思いが込められています。とても分かりやすいテーマだと思います。
 このテーマのように、皆さん一人一人が心掛けて生活をしてほしいと思います。整美委員がチェックをつけなくてもよい“きれいなのぞみ寮”を目指しましょう。

 

 

礼拝委員「みんな空の下」

S.H(みぎわ館2年 長岡市)

 今年度の礼拝委員会の年間テーマは「みんな空の下」です。礼拝の年間テーマを決めるに当たり、今ののぞみ寮の礼拝をどんな礼拝にしたいか、1年後どんな礼拝になっていてほしいか、ということを話し合いました。
 委員の中からは、寮生に自然な姿で礼拝を受けて欲しい、一日の中で一番落ち着ける時間にして欲しい、礼拝を大好きになって欲しいという意見が出ました。

1126_no04 そのことを踏まえて、テーマの候補となる様々な意見やキーワードを出しました。しかし、どれを取ってもいまいちピンとくるものはなく、どうしようかと思っていた時です。「みんな空の下」がいいのではないかという意見が出ました。この意見が出てから、礼拝委員全員で「みんな空の下」という曲を聴きました。そして、私たちの思い描く理想の礼拝像と一致しました。
 みなさんは、ミュージシャン・絢香さんの「みんな空の下」という曲をご存じでしょうか?この曲の歌詞に「曇り空まで晴れにしてしまう」というフレーズがあります。私たちは日々いろんな感情に振り回されて生きています。悲しかったり、辛かったり、全員が落ち着いた気持ちで礼拝を受けるのが難しいことがあると思います。そんな時、少しでも曇っていた気持ちを軽くすることが出来たらいいと思い、礼拝に対する想いを込めて、このテーマに決めました。のぞみ寮生が同じ空の下で、十字架の下で、すてきな礼拝を毎日守れるように礼拝委員全員で考え続けていきたいと思います。

 

 

 

行事委員「熱盛」

K.T(大望館2年 十日町市)

 今回、新行事委員のテーマを決めるに当たり、苦労しました。新しい行事委員のメンバーは、学年の中でも特に個性の強いメンバーが集まっているからです。
 それ故、考え方の食い違いからのぶつかり合いが、第1回ミーティングから起こりました。テーマを決めようとしても、様々な意見が出てきて、それをまとめることが出来ない。あげくには、委員長と副委員長が言い合いを始めるなど、トラブルもたくさん起こりました。
 しかし、私たちの中で共通している思いがありました。48回生行事委員のように行事を盛り上げたいという思いです。この思いから私たちのテーマは決まりました。

1126_no05 今年の行事委員のテーマは「熱盛」(熱く盛り上がろう)です。長く語るのではなく、簡潔にそのままの意味で、短くてインパクトのあるテーマがいいと思い、このテーマが決まりました。
 熱く盛り上がる行事がしたい。私たちに何が出来るか、ということも考えました。そのためにまずは、行事の数を増やすということをはじめの目標として、次に各館だけでなく、合同の行事も増やしていきたいという目標も決まりました。
 行事委員のメンバーの個性をいかした意見や発想を取り入れて、皆さんが盛り上がれるような行事をこれから1年間企画していきます。一人でも多くの人に参加したいと思われるような行事を目指したいと思います。

 

 

 

リサイクル委員 「3R」

M.J(大望館2年 東京都)

 皆さんご存じでしょうか?残念なことに、日本人1人あたりが1年間に排出するゴミの量は320㎏、単純計算で1人1日当たり1㎏は廃棄していることになります。この数字は世界1位の排出量で世界2位のフランスでも年間180㎏。アメリカは4位で年間100㎏にとどまっています。ただこの数字は平均なので、貧困層の多いアメリカではこの数字なのもわかりますが、それでも日本人のごみ排出量は圧倒的に多く、そのごみをこの狭い国内で処分するための焼却処分場数も1893ヶ所で、これは世界のごみ焼却施設の約70%に当たる数です。皆さん、異常だと思いませんか。私たちが日々、何の疑念も抱かず捨てているごみの量、それを疑ってください。
 では、どうして日本人のごみの排出量がこんなに増えたのか。それは、便利になって私たちが忘れかけている物の使い方。それが、今年のリサイクル委員のテーマである「3R」(リデュース・リユース・リサイクル)の3つです。これは、皆さん1度は聞いたことがありますよね。でも、今ここでその3つの意味を言えますか。知らない人も多いでしょう。かくいう私もその1人です。

1126_no06 まずは「リデュース」。これは、ごみを減らすという意味です。ごみというよりは、いらなくなるものを減らす、という考え方です。江戸時代の町には、物を修理する職人が行きかっていました。代表的なのは瀬戸物の焼き継ぎ職人で、日々の生活の中でぶつけたり落としたりで、壊れ物となってしまう皿や茶わん。それを、白玉粉を挟んで焼き直す事で、再び使えるようにする。他にも下駄・草履の修理屋など、日々の生活でどうしても消費せざるを得ない物も、使い続けられるようにして、長く使う。
 これが、本来の物の使い方だと思います。私たちの使う物は、プラスチック製なら、落としても割れません。現代の靴は江戸時代の何倍も丈夫です。大切に使えば何年も持ちます。インスタント麺も、容器を使いまわすタイプを使えば、使い捨ての量を減らすことができます。私たちの中から欠落しつつある、物を長く大切に使う気持ち。それをしっかり持つことがまず何より大切なのです。
 次、「リユース」。これは、一度以上使われた製品や、製品の部品をそのまま再利用することです。例えばバザーなどがそうです。私たちが身に着ける物である服や、日常品等を他の人に使ってもらうことで、その物の寿命を延ばす。これは、私たちがエコ活動として認識しているそのものだと思います。ただ重要なのは、あくまで自分も大切に使った物であるという事です。買いまくってあまり使わず「要らないから、誰か使って」ではだめです。使わないものは持たないという「リデュース」の考え方が先にあって、その上で、物の寿命を延ばす一手段でしかありません。
 最後に「リサイクル」。私たちの委員会名である「リサイクル」とは、皆さんご存知の通り、一度廃棄した物を資源として、新たな製品に組み込む事です。一番身近なものとしては新聞紙などがそうです。リサイクルすることで、廃棄物の中から実際にゴミとして処分される量を、格段に減らすことができます。しかし、リサイクルだけではダメです。なぜかというと、大量生産して、大量消費して、大量にリサイクルしたところで、ゴミは無限に出続けることになるのです。
 リサイクル委員は、より多くの資源をリサイクルして、より環境の負荷を減らすために分別を呼び掛けていきたいと思います。しかし、リサイクルでは地球を救うことはできません。そのためには物を捨てる前に、物を無駄に買わない。そして、買ったものはできるだけ長く大切に使う。その心をもって日々生活していってほしいと思っています。

 

 

 

教師からの一言「確かな成長の時」

大望館担任 山﨑 飛鳥

 1年生A君との出来事について紹介します。先月のぞみ寮で世代交代に向けた副ブロック長選挙が行われ、残念ながらその選挙でA君は学年のリーダーにはなれませんでした。「結果的には、副ブロック長になれなかったけど、彼にとって、いい思い出ができた」と、私は満足していました。
 この話には続きがあります。後日、A君が私に報告してきました。「あすかさん、学校の委員会で副風紀委員長になりました」その後、私はさらに驚かされます。A君は、続けてこう言いました。「副ブロ選挙で、本気で熱意を伝える事の大切さがわかりました。そして風紀委員でも自分の本気をぶつけたんです」
 純粋にその言葉がうれしかったし、驚かされました。もちろん1年生ながら、副委員長の役割を担うことも凄いと思います。しかし、私が一番驚いたことは、彼の中であの選挙はただの「思い出」ではなく確かな「経験」になっていたこと、そして、その経験をすぐに実践に生かしていたことでした。
 様々な出来事を「ああ、よかったね」だけでなく、確かな成長の機会にする。のぞみ寮は、そんな場所だと改めて学ばせていただきました。これからも、そんな機会を寮生と共に大事にしていきたいと思います。。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

のぞみ寮クリスマス礼拝のお誘いと講師紹介

 今年の講師は日比野則彦さん(北新潟キリスト教会会員)をお招きします。日比野さんは、作曲家・サックス奏者として活躍し、大手ゲームメーカーのゲームソフトの音楽も作曲されています。現在は日比野音療研究所を立ち上げ、音楽による癒やしの部分に積極的に取り組んでいます。是非ご一緒に音楽を交えたメッセージを楽しみましょう。