自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2017/11/24
先々週の土曜日11月11日に秋のオープンスクールがありました。
オープンスクールのプログラムに模擬授業があります。
私も聖書の授業を持たせてもらいました。
授業を行うのは久しぶりでした。
そのためえらく緊張しました。
去年までは3年生の選択聖書を持っていましたので、そんなこともなかったのですが、あらためてのルーティンワークの大切さ、ふだんの生活の大切さを実感しました。
その授業とルーティンワークのことで思い出したのが、しばらく前に卒業したA君のことです。
A君は3年間の皆勤で金の聖書を貰った人です。
敬和学園の皆勤賞は一日も休まないだけでなく、朝の全校礼拝から帰りのショートホームルームまで遅刻早退をしないということです。
相当高いハードルのものです。
学校が苦手だった私からすれば最初からあきらめていることです。
その皆勤賞を手にする人は、いうなれば生きる力を持った人といえます。
皆勤賞のA君が選択聖書で書く自分史の中で、意外なことを書きました。
敬和学園の3年間を皆勤で過ごすことになったA君の中学校生活がどうであったか、それは真逆でした。
不登校そのものでした。
2年生の年間の欠席日数100日を超えていました。
3年生は80日以上、これは一日も通っていないということです。
A君は敬和学園に入学するにあたって思ったそうです。
「これからの3年間は1日も休まないでおこう」。
その言葉通りの3年間を過ごしたのです。
A君の自分史を聴いた同級生がレポートで次のようなことを書きました。
Aさんが中学校で不登校だったというのを聞いてびっくりした。
バリバリやってきたのだろうと思っていた。
3年間の皆勤の理由が休まないでおこうと決めた、それにはたったそれだけ、と拍子抜けをした。
ふつうはもっと重大な決心とかあるのだろうと思った。
その日の授業では、A君のたったそれだけと思えるような思いについて考えました。
私はいいました。
A君の思いは、作家の村上春樹と野球のイチロー選手に共通するものを感じる。
何が共通するかです。
村上さんは毎年ノーベル文学賞の発表の時期になると、もらうもらえないで世界中で話題になる人です。
村上さんが作家になるきっかけ、それはプロ野球の試合を球場の外野席で見ていた時のことです。
ヤクルトスワローズの選手がヒットを打って走っているのを見て、その瞬間作家になろうと決めたというのです。
そして野球の帰りに紀伊国屋書店に寄って原稿用紙と万年筆を買って、小説を書き始めたのです。
世界的な作家の小説を書き始めるきっかけがそれでだけと思ってしまいます。
人生をかけるような重大な決意はなかったのかと拍子抜けします。
イチロー選手は小学校の卒業文集に、絶対にプロ野球の選手になると書きました。その際にドラフト会議で指名されたい球団名や契約金の金額まで書きました。
その実現するために、それから毎日黙々と過ごしたそうです。
学校を一日も休まない、作家になる、プロ野球選手になる、こうしたことは誰でも一度や二度は考えます。
でもそれをその通りに実行することがふつうはできないのです。
そういう意味で3人に共通しているもが見えてきます。
それは自分の思いや考えが信念になっていっていることです。
信念、漢字にすると信じるに念じると書いて信念です。
念じるというのは祈るということです。
信じて祈るということです。
A君、村上春樹、イチロー選手に共通するのは、意識するしないは別にして、信じて祈ることができていることです。
祈りの力を知っているということになります。
さらにそこから明らかになることがあります。
それはルーティンワークの大切さです。
決まったことを毎日繰り返すこと、習慣化することによって、内側から自分の願いを実現する力が出てくるのです。
イチロー選手で有名なのがバッターボックスに立った時に決まった一連の動作しぐさです。
イチロー選手の一日はすべてが野球をするためのルーティンワークで成り立っています。
作家というイメージは徹夜で作品を書く、書き始めると食事などをしないというような不規則で夜型の職業のようなイメージがありますが、村上さんの場合はいたって健康的です。
毎日早起きをして、10キロのランニングをして、そして机の前に座る。
午前中はとにかく書く。
午後からは音楽を聴くなど好きなことをして、夜の9時には寝る。
A君が敬和生活を始めるにあたって決めたことがあります。
それは前の晩遅くなって、どんなに眠たくても朝6時に起きる。
食欲がなくても朝ご飯を食べる。
学校に着いて、すれ違う同級生先生には自分の方から「おはようございます」という。
こうしたルーティンワークを大切にする3人からはっきり感じることがあります。
イチロー選手は野球が本当に好きなんだということです。
作家というと作品を書くのにあれこれ苦しむことが多い職業だと思いますが、村上さんは楽しそうに書いているのです。
作家に訪れる作品が書けないとのスランプ、それも楽しんでいます。
A君は別に目立つ存在ではありませんでした。
でも周りから見ると確かに敬和生活を楽しそうに過ごしていました。
3人の姿を一言でいうなら、野球を愛し、小説を愛し、敬和を愛する、です。
今日のところで、イエスは求め続ける、探し続ける、叩き続けるというルーティンワークの大切さ、祈る続けることの大切さを人々に話されました。
祈り続けることによって自分や社会を取り巻く状況が変化する。
絶望的な状況になっても、祈ることを知っていれば、そこに一縷の望みが残る。祈る続けることによって現状を打ち破ることができる、というのです。
それを心に刻みながら今週1週間、共に過ごしていきましょう。