のぞみ寮通信

めぐみ館

2017/03/22

めぐみ館通信 2017年3月20日 第73号

めぐみの間の村田です
 今年度を持ちまして、めぐみ館を、のぞみ寮を離れることになりました。長かったような、それでいてあっという間だったような、そんな1年間でした。
 閉寮礼拝が行われた3月16日、私がめぐみ館の生徒たちと過ごす最後の夜「あぁ、やっぱりめぐみやなぁ」と思う嬉しいことがありました。消灯時間後、私の部屋のチャイムがなりました。ドアを開けてみると、もう電気も消えて暗くなった廊下に生徒が一人。「あのね、時間が遅いのは分かっているけど、今年一年頑張ったからどうしても最後にアイス買いたくて。小菅先生も見つけられないから、お願い!事務室開けて!」彼女のがんばりは1年間ずっと見てきました。それに、最後の夜にそんなこと言われたら、だめとか言えんやんか!と心の中で思いながら「えー、しょうがないなぁ」と一緒に事務室へ。ところが、事務室の扉がすでに少し開いていました。あれ?と開けて顔を突っ込んでみると、狭くて真っ暗な事務室の中でわさわさと動くものが。次の瞬間、パチパチっと電気がついて「あかねちゃん、今までありがとーう」私の大好きなめぐみのみんなが大集合してくれていました。メッセージとプレゼントと、にこにこというよりはニヤニヤしたみんなの笑顔。幸せな時間でした。泣くつもりなんて、なかったのに。そうです、私は泣くつもりなんてなかったのです。なぜなら、みんなが私のために何かを用意してくれていることをすでに知ってしまっていたから……。
 第一のヒント。前日の夜、私の異動の話を伝えるためにみんなに集まってもらいました。その後、小菅先生にちょっとした用事を頼まれ、私がみんなのいる部屋を出て、後ろ手に扉を閉めた瞬間「ちょっと、ちょっと、ちょっと!」まだスリッパを履いている途中だった私の耳に、声を潜めつつも慌ててみんなに呼びかける小菅先生の声が 。第二のヒント。閉寮礼拝終了後、最後の礼拝の余韻に浸っていると寮本部にめぐみの生徒が二人やってきました。「こすーげー」と元気よく入ってきたのに、私を見た瞬間「先生、お腹痛い」と急にお腹を抑え出す怪しさ。そして、小菅先生も、怪しい!お腹が痛いはずなのに、そそくさと3人で本部から出て行ってしまったのでした。第三のヒント、というよりはもはや答えでしょうか。この時間に出てきて欲しいと伝言をもらっていたので、その時間に廊下に出ると事務室からワイワイガヤガヤ楽しそうな声が。しかし、そこでちょっと待った、と自分の心の声が聞こえてきました。急いでもう一度部屋へ戻り、扉の前でどうしたものか、と考えていました。と、そこへ聞こえてきたのは「あっ、みんなスリッパスリッパ!隠して!」そう、小菅先生の声です。私は、一人で思わずふふふっと笑ってしまいました。そうして、きました。私の部屋のチャイムがなりました。必死で真顔を作ってドアを開けてみると、さっきまで明るかったのに、電気が消えて暗くなった廊下に生徒が一人。そして、事務室の前からは約30足のかわいいスリッパたちが消えています。笑うな、笑うな。どんな顔をして、みんなのサプライズを受けようか、と内心ドキドキしていたのですが、「あかねちゃん、今までありがとー」の一言でそんなものは吹っ飛んでいきました。素直に、嬉しかったです。泣くつもりなんて、なかったのに。
 最後に、保護者の皆様、短い間ではありましたが様々な形でお支えくださいましてありがとうございました。こののぞみ寮に、めぐみ館に大切なお子様を送ってくださったこと、心より感謝しております。村田茜という一人の人間の人生において、大変貴重な出会いが実現されました。共に多くの時間を過ごしたこと、それ自体が私にとって大きな恵みとなりました。4月からは、学校の方へ異動となります。これまでは「いってらっしゃい、おかえり」だった挨拶が「おはよう、さようなら」へと少し変わりますが、ほかは何も変わりません。春休み、この1年間本当によくがんばった、と自分を褒めてあげてください。ゆっくり過ごしてください。4月に、みんなに会えるのを楽しみにしています。今まで、本当にありがとうございました。 (村田)

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礼拝のお話

「過去も未来も見つめながら」

1年 T.A

 今日は、おばさんのお話をしようと思います。私のおばさんは入院しています。歳は80歳。骨折をして入院をしています。母とおばさんのお見舞いに行くことになりました。お見舞いに行くことになり、私は戸惑いました。実はお見舞いに行くことは、一度も経験したことのないことでした。おばさんの姿を見て泣きそうでした。お見舞いに行ったことのない私からしたらほんとに怖かったです。いつも「おばさん!」って笑顔で話しかけられるのに、今回はおばさん声をかけられなくて、戸惑った私の姿を見たおばさんに「A、ごめんな」と言われ泣きそうでした。弱っているおばさんは、話すこともやっとなのに、私に話しかけてくれました。私は何も言葉を返すことが出来ませんでした。おばさんとの時間を思い出す度、私にはたくさんの後悔があります。
 話はいきなり変わりますが、皆さんは“過去”と“未来”どっちに行きたいかと聞かれたらどちらを選びますか?今の私なら“過去に行きたいと答えるでしょう。なぜ過去なのかというと、私は過去に後悔していることがたくさんあるからです。やり直したら自分の人生は変わったのではと、自分を追い詰めた時期がありました。逆に未来に行きたいと願うなら、“自分の将来を見て今の自分を見つめなおしたい”“必死に努力して未来を変えたい”と答えると思います。私がどうして“過去”と“未来”へ行きたいか問いをしたかというと、どっちに行っても今の自分を見つめなおすことが出来るからです。私は今まで自分の過去から逃げてきました。“辛い”“どうせ病むだけだ”と逃げていた時こそ自分を一番苦しめていたと思います。
 おばさんの話と過去の話は全く違うと思いますが、私の伝えたいことは同じです。私は過去を見ても、未来を見てもきっと後悔をしているはずです。おばさんの話の中にも「こうしていたら……」などたくさんの後悔が出てきたと思います。
 皆さんは今回の私の話を聞いて感じられたでしょうか?敬和に入学した時の気持ちを忘れずに、“自分がどのように生きたいか、”過去も未来も見つめながら“新しい自分”を探していきたいです。