月刊敬和新聞

2015年8月号より「3年生A君のこれまでとこれからをオノマトペ(擬音語、擬声語)で表してみました。」

小西二巳夫(校長)

漫画はオノマトペの宝庫です
 「オノマトペ」というフランス語があります。日本語にすると擬音語、擬声語となります。オノマトペはさまざまな様子や音、感情などをひとことふたことで表し、情景を表現することができます。日本語はオノマトペの種類がかなり多くあり、その効果はかなり重要です。もしこれがなかったら会話はしにくいはずです。
 日本のマンガはオノマトペの宝庫です。もしマンガにオノマトペを禁止したらまったくおもしろくないものになります。
 そこで夏の一日をオノマトペで表現してみました。「太陽がギラギラとしてきて、頭がクラクラし全身から汗がジワジワ出てきました。やがて肌がジリジリ焼けヒリヒリしてきました。そこで家に入って、うちわでパタパタ仰ぎながらゴロゴロしていると、突然雷がゴロゴロと鳴り出しました。稲妻がピカッピカッと光り、近くにバリバリ、ドカンドカンと落ちました。同時に夕立がザァーザァーと降り出しました。夕立のおかげでヒンヤリとしてきて、夜になり花火がシュルシュルと上がりドーンドーンという音と共に光り輝くのをキンキンに冷えたジュースをゴクゴク飲みながら見ていました」。

3年生A君が敬和学園に入学するまでをオノマトペで表しました
 さらに3年生のA君をモデルに、敬和学園に入学した彼が、中学校でどのような生活をしてきたのか、敬和学園でどのような三年間を過ごすことになったのか。そして人間的にどのように成長してきたのかを繰り返し二音のオノマトペを中心に綴ってみました。
 「中学校で学習や生活態度について周りからいつもガミガミ、ゴチャゴチャ言われました。時にはチャラチャラ、ヘラヘラしていると言われネチネチ叱られました。そのため気持ちはピリピリ、イライラの連続でした。何となくムカムカし、頭がカリカリすること、胃がキリキリすることもしょっちゅうでした。気持ちもダラダラの連続になりました。グズグズした性格と言われ、コミュニケーションもうまく取れず、友だち関係も次第にズタズタになり、やがてヒソヒソ声やクスクスとの笑い声が聞こえてきて、悲しさと悔しさのために涙がポロポロ流れてきました。やがてみんなの表情がツンツンとしたものに見え、唇がカラカラにかわき、心がドキドキして冷や汗もダラダラと流れるようになりました。親や家族はヒヤヒヤ、ハラハラしながら見ていました。でもどうにもできずただオロオロ、オタオタするしかありませんでした。

3年生A君の敬和学園との出会いから学校生活をオノマトペで表しました
 このままではだめだ自分を変えたい、ズルズルとした生活から抜けだしたいと真剣に考えている時に敬和学園に出会いました。ビクビク感はありましたが思い切って個人的な学校見学にオソルオソル行くことにしました。スルスルと話しかけてくる校長の言葉にオズオズと答えているうちにドキドキ感も次第に薄れ、授業中の教室やチャペルをウキウキしながら見て回る自分がいました。そして授業をイソイソ受けている生徒を見てゾクゾクしてきました。生徒の表情はキラキラしていて、そしてガンガンと学校生活に取り組んでいる人たちと接する中で気持ちのモヤモヤが晴れてきました。見学を終えるころには自分の心がルンルンとしたものに変わっていました。表情もウツウツしたものからニコニコしたものに変わっているのがわかりました。こうして入学をしたA君の学校生活は一日一日コツコツ過ごすことを通して、期待通り学ぶ楽しさ取り組む楽しさでグイグイ引きこまれていきました。周りから見てもイキイキさが伝わってきました。高校生活がグングン楽しくなっていきました。でも入学当初から、そしていつもそうだったのではありません。毎日の授業や学校行事でバリバリやろうとの思いが時にはフラフラとしたものになりタラタラとしたものになることもありました。そうした時には周りの人や先生から厳しい声やマジマジとした言葉をポンポン、ドンドンかけられるのでした。でもその言葉にブチッブチッとならなかったのは、自分を大切にしてくれているからだと心にビンビン響いてくるためでした。だからワクワクとした2年半になったのです。

3年生A君のこれからをオノマトペで想像しました
 さて敬和学園を卒業して新しい進路を歩むことになるA君の道がいつもリンリン、ランランであるはずがありません。道そのものがボコボコの状態になっている時もあるでしょう。ヨロヨロとつまづいたり、ノソノソとしか歩けないこともあるでしょう。でもその時に目をゴシゴシふいてみると、見えない力によって支えられている自分が見えてくるはずです。どういう時にもタンタンと取り組みズンズン歩める存在になっているはずです。